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    不快(壊れた文章)

    日記

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     道を歩いている。わたしは草むらでふとレリック(聖遺物)を手にする……。

    (それはどんなレリックなのだ)

     わたしはまじまじとレリックを見る。それはレリックだが、どんな形なのか……見ているわたしにもわからない、ということを逡巡の後に気づかずにはいられない。

    (お前は自分が何を見ているかもわからないのか。それがレリックだといったところでお前は思考を停止させていたのではないか)

     そうなのだ。わたしはレリックがわからなくなっている自分を意識する。なんとかレリックの焦点をしっかりしたものにし、自分が何を見ているのかを判然とさせなければならない……。

     わたしは気づく。わたしが見ているこのレリックは、わたしの内臓だ。わたしの内臓の奥の奥にあるどろどろした何かだ。

    (だとしたら、それはなんだ。いってみろ)

     わからない。内臓の奥にあるどろどろとした何か。それがわたしの手にしているただひとつの確かな存在なのに。わたしは自分の内臓の中すらもわかっていない。

    (見ろ!)

     わたしは見る。しだいにそのおぞましいものが、おぞましいなりに形をあらわにしようとする。

    (いえ! それはなんだ!)

     見ていられない。目をそらすしかない。

     自分にはそれが何であるとはっきりいうことができない。

     すでにレリックは血の色を通り越して、どす黒い胆汁のそれと同じ色と臭いを発している……。

    (では、それはどのようなものなのだ。比喩を使ってみるがいい)

     わたしはそのレリックに……わたしが握りしめている唯一の「何か」に、比喩でもって接近しようとする。

     わたしは自分の皮膚を裂いて内臓をこじ開ける。すでにそこには臓器はない。どろどろした、醜く不定なアメーバじみた溶液があるだけだ……。わたしはそれを丹念にスケッチする。スケッチ、スケッチ、スケッチ……わたしは自分がこれまでにやっていない何かをしていることに気がつく。それはわたしがやらなければならないにもかかわらず常に先送りしていたことだ。

     わたしは描写し、ひたすらなリアリズムをもって彫琢する……形があらわになってくる。わたしはその醜悪極まるものを自分の想像力につなげ、ひたすらに……。

    (それがお前にとってのレリックなのか?)

     わたしにとってのレリックだ。それははっきりしている。わたしはこれを明らかにしなくてはいけない。明らかにすることは、わたしの良心であり義務だ。わたしの問題であるから、わたしがやらねばならないのだ……。

    (だがそれは、『見ている人』から見てもレリックであるのか?)

     その瞬間、手中からその醜く忌まわしいレリックは塵芥となって一瞬のうちに消え失せる。もはや握った手の中には何もない。

     わたしは立ち上がり、茫然として道を見渡す。

     どこにも、つかめるものはなにも落ちていない。まったくの虚無の平野……。

     わたしはよろよろと歩き始める。

     目的もなく、価値あるものも見えず、星一つない広漠とした天蓋のもと、裸で風に吹かれながら……。
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    ~ Comment ~

    Re: 椿さん

    それができないのに芸術の道を進むのはどう考えても間違っている、と思ってましたが、別な人から激賞されて、なにがなんだかわからなくなっているところです(^^;)

    迷走してます(^^;ゞ

    NoTitle

    『見ている人にとってどうなのか』まで考えてしまったときに消え失せないものはあるのだろうか……と考えてしまいました。

    自分にとってまでなら見つけることも出来そうだけれど、自分だけでなく他人にも聖遺物たりうるものを見つけることが出来るのはどんな人なのだろう……。
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