読書日記
パトリシア・モイーズチャレンジ(2)
今日は一日ヒマであった。あったので、朝起きて飯食って床屋へ行ってから、ひたすら延々とパトリシア・モイーズを読んでいた。いまとなっては古すぎるネタがあるのかもしれないが、それでもこのミステリファンをうならせる展開、たまらんね。このチャレンジでもって思い知ったのは、「当たり前に書かれた当たり前のイギリスミステリの面白さ」だった。「殺人ア・ラ・モード」「大空に消える」「殺人ファンタスティック」と読む。よくもまあここまで次から次へとアイデアを考えつくものだ。背後にトリックを考える優秀なブレーンでもいるんとちゃうか。てなわけで感想。
「殺人ア・ラ・モード」……入稿ぎりぎりのファッション雑誌編集部。最後のチェックをしていた女性編集者が毒殺された。状況的には誰でもできる犯行である。だが動機は……? 読ませるミステリである。結末の趣向は容易に想像がついたけど、犯人はさっぱりわからなかった。多岐に広がりまくるギミックに、次々と明確な回答を示してみせた手並みは見事のひとこと。分厚いが、一気読みの秀作である。モイーズの最高傑作といわれるのもわからんでもない。次作である、今回は入手できなかった「流れる星」も俄然興味がわいてきた。たぶんこのあたりがモイーズの最初のピークなんだろうな、と思った。
「大空に消える」……二十年前の戦時中に起こった自殺事件をほじくり返すことになった、ティベット警部の妻エミー。だが、エミーが調べていくうちに、次々と奇妙な事件が起こる、というもの。むろん、自殺事件は単純なものではなく、裏には裏があるのだが、その裏の裏を指摘できた! と思った瞬間にそのさらに裏を提示してくる趣向がニクい。真相ははなはだ苦いもので、そういう意味で、これは「エミー・ティベット自身の事件」といってもいいだろうなあ。それと、エミーさん、わきが甘すぎる(笑)
「殺人ファンタスティック」……片田舎で起こった射殺事件。そこの警察幹部の泣かんばかりの頼みでスコットランド・ヤードからやってきたティベット警部が見たものは、その頼みの理由がよくわかる、頭のネジが揃って外れたはちゃめちゃ極まる容疑者一家であった。エドマンド・クリスピンが乗り移ったかのような、完全なスラップスティック。よくもまあこんな話を堂々と描くものだ。射殺事件の真相自体は、ティベット警部が早々に明らかにしてしまうのだが、この小説の本番は、むしろそこからなのである。しじゅうにやにやしっぱなし。そしてこの真相といい、いやー、往年のマイクル・イネスかクリスピンだよなあ。怪作である(笑)
明日は「死とやさしい伯父」を読むつもり。ウィキペディアで調べてみたら、ティベット警部シリーズ、全部で19冊訳されていたそうな。手元にあるのが10冊。これはふたたび古本屋へ赴かざるを得まい……。
「殺人ア・ラ・モード」……入稿ぎりぎりのファッション雑誌編集部。最後のチェックをしていた女性編集者が毒殺された。状況的には誰でもできる犯行である。だが動機は……? 読ませるミステリである。結末の趣向は容易に想像がついたけど、犯人はさっぱりわからなかった。多岐に広がりまくるギミックに、次々と明確な回答を示してみせた手並みは見事のひとこと。分厚いが、一気読みの秀作である。モイーズの最高傑作といわれるのもわからんでもない。次作である、今回は入手できなかった「流れる星」も俄然興味がわいてきた。たぶんこのあたりがモイーズの最初のピークなんだろうな、と思った。
「大空に消える」……二十年前の戦時中に起こった自殺事件をほじくり返すことになった、ティベット警部の妻エミー。だが、エミーが調べていくうちに、次々と奇妙な事件が起こる、というもの。むろん、自殺事件は単純なものではなく、裏には裏があるのだが、その裏の裏を指摘できた! と思った瞬間にそのさらに裏を提示してくる趣向がニクい。真相ははなはだ苦いもので、そういう意味で、これは「エミー・ティベット自身の事件」といってもいいだろうなあ。それと、エミーさん、わきが甘すぎる(笑)
「殺人ファンタスティック」……片田舎で起こった射殺事件。そこの警察幹部の泣かんばかりの頼みでスコットランド・ヤードからやってきたティベット警部が見たものは、その頼みの理由がよくわかる、頭のネジが揃って外れたはちゃめちゃ極まる容疑者一家であった。エドマンド・クリスピンが乗り移ったかのような、完全なスラップスティック。よくもまあこんな話を堂々と描くものだ。射殺事件の真相自体は、ティベット警部が早々に明らかにしてしまうのだが、この小説の本番は、むしろそこからなのである。しじゅうにやにやしっぱなし。そしてこの真相といい、いやー、往年のマイクル・イネスかクリスピンだよなあ。怪作である(笑)
明日は「死とやさしい伯父」を読むつもり。ウィキペディアで調べてみたら、ティベット警部シリーズ、全部で19冊訳されていたそうな。手元にあるのが10冊。これはふたたび古本屋へ赴かざるを得まい……。
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なかなか面白そうですね。
読んだことのない面白い本がどのくらい世の中にあるのかと思うと、ワクワクすると同時に生きている間にどのくらい読めるのだろうと思ってしまいます。もう年だなあ(笑)
読んだことのない面白い本がどのくらい世の中にあるのかと思うと、ワクワクすると同時に生きている間にどのくらい読めるのだろうと思ってしまいます。もう年だなあ(笑)
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Re: 椿さん