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    読書日記

    「消えた巨人軍」読む

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     相互リンクしてくださっている面白半分さんが、しきりと西村京太郎の初期作品をホメるので、どんなもんかいな、と思って、西村京太郎の初期作品の中でも傑作と言われている「消えた巨人軍」を図書館から借りて読んでみることにした。

     感想であるが。

     もしかしたら、西村京太郎という作家は、「神のごとき名探偵が最終ページ近くでズバズバと事態を指摘して驚愕させる」という、京大新本格のような小説が書けないのかもしれない、というのが最初の感想だ。直感型の名探偵と言われている左文字進も、なんというか鮎川哲也作品でいえば星影隆三ではなく鬼貫警部タイプの探偵だったのである。

     シチュエーションは魅惑的である。ジャイアンツの一軍選手が新幹線車内から煙のように姿を消し、そして球団本部に脅迫電話がかかってくる、これだけでつかみは満点である。警察に話したら選手たちの命が危ない可能性がある。藁をもすがる思いで社長は私立探偵の左文字進に依頼を……というわけなのであるが、左文字先生、推理によって魔法のように選手を取り出す、などということはしない。コツコツと足の捜査で、一歩一歩犯人に肉薄していくのだ。

     推理する頭脳は始終回転しているから肉薄もできるわけだが、同時にこれは本作が京大新本格的なカタルシスとは縁の薄い作品になってしまった理由でもある。例えば、犯人が、どうやって新幹線の車内から選手を連れだしたのか、について、左文字進は前半三分の一あたりで推理によりその解答を示し、そして正解がそれなのだ。執拗なる仮説のクラッシュアンドビルドを西村京太郎はやらない。たぶんあの人の美学にとってはそれは名探偵のやることではないのだろう。である以上、どうしても「どんでん返しの悦楽」は薄いのである。

     だからこそたまに事件全体をひっくり返すような派手などんでん返しが決まると非常にうれしいんだけどね。「名探偵シリーズ」のあれなんか、最後の数ページのドキドキ感はたまらなかったなあ。

     というわけで、ちょっと不完全燃焼気味なので、「殺しの双曲線」みたいな作品にもう一度ぶつかるまで、西村京太郎初期作品を当たってみたいと思う。次に図書館に行くの、いつにしようかなあ。ぐむむ。
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    ~ Comment ~

    Re: 面白半分さん

    とりあえず今は、生き残った中から「赤い帆船」と「消えた乗組員」を借りてきて読んでます。

    うみゅー、面白いんだけどなんか琴線に訴えてこないなあ~(´・ω・`)

    NoTitle

    ホメまくっております。

    西村作品を相撲にたとえた日下三蔵さんがたの
    初期は負け知らず、今は出てるだけ、という言葉にふれ初期作品を探している状態です。

    本作は未読ですが直感型左文字モノでしたか。
    ”そして正解がそれなのだ。”というのはよくわかるなあ。

    とにかく今はブックオフで、解説や初出情報をみて70年代までの作品ならとりあえず買おうかと思ってます

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