FC2ブログ

    映画の感想

    「雄呂血」再見

     ←投票 →「ウェッジウッドのひなげし」やってみた
    チャンバラ無声映画の傑作として名高いバンツマの「雄呂血」。

    アマゾンプライムにあったはずだが、一般ユーザー向けにUPされなくなったと聞いたので、見てみたら、ほんとにアマプラユーザーのみ視聴可になっていてちょっとがっかりである。

    かわりに、YOUTUBEを調べてみたら、伴奏と、活動弁士として澤登翠さんがしゃべっているバージョンがUPされていたので貼ってみる。貼った以上は、全部見られるかどうか確認するのが筋というものであろう。というわけで、頭から最後まで全部見た。



    再見してみたら、まあ、「キレやすい日本人」というものの典型が、昔からいたんだねえ、と(笑)。わたしは非常に身につまされたが、この主人公の言動を逐一分析すれば、「どうすれば敵が簡単に作れるか」のモデルケースになるのではないか、と思えるほど、潔癖でキレやすく、さらに妄想癖まであるこいつはヤバい男である。

    そのヤバさが特に現れているのは女性に向かったときで、「あからさまに自分を嫌っていることが丸わかりの娘」に対して、徹頭徹尾「真心を話せばわかってくれないはずがない」という頑迷な思い込みで突撃を繰り返す様を見ていると、思わず「あーっ……」と頭を抱えたくなってくる。女性に対してではないが、自分にもこういう側面があるからだ。見ているぶんには、どこからそういう自信が出てくるのかわからない、といいたくもなるのだが。これを受け継いでいるのが、現在のプリキュアではあるまいか.どれだけたたきのめされても「絶対に諦めない!」と頑迷に繰り返してほんとに諦めないあの娘たち、最後には勝つからいいけど、負けっぱなしだったらほんとに見てられないよなあ。

    町を歩いていれば誰でもぶつかるような屈辱に、毎回怒りに燃えて激高してしまうというのも、普通の人はなんだかなあ、だろうが、その前に、思い当たる人は「あーっ……」と頭を抱えるのである。特に、当時は、日清日露を戦い抜いて列強の一角となり、日本人が全員「刃向かうものは斬る!」みたいな視野狭窄状況に陥りかかっていたときでもあり、こういう人間は掃いて捨てるほどいたであろう。そういうむかっ腹が蓄積されて爆発したのが太平洋戦争であり、パールハーバーで頂点を迎えるわけだが、ほんとに太平洋戦線での日本軍の戦い方は、この映画のクライマックスのチャンバラを思い浮かべずにはいられないものだ。

    いや、最後に正気に返るだけ、こっちの映画のチャンバラのほうがまだまともだな。「善良で品行方正だったはずのやつが、善良で品行方正な生活態度を守り続けたままで、どうしてどこまでも果てしなく落ちていくのか」、という問題を、リアルなものとして捉えきれず、行くところまで果てしなく行ってしまう、というのが、日本のみならず極東三国の抱える致命的な宿痾じゃないのか、なんて考えてしまう。

    そんなことを抜きにしても、日本映画好き、時代劇好きなら一度は見ていて損はない作品である。クライマックスの「圧倒的多数vs1人」というシチュエーション、いまではとても撮影できない殺陣がついている。ひとりで斬りまくる主人公に対して、捕り手が本物の瓦を屋根から次々と投げ落として攻撃する、なんて危険すぎるアクションをノースタントでやるんだぜ。よく平気だったな阪東妻三郎。それに比べたら、夜間というはずなのに、画面が昼だ、なんてことに突っ込むのはあまりにケツの穴が小さい、といっておこう。そんなことで、ウルトラマンの第38話が見られるか!

    こういう映画が好きになると、令和の時代劇なんてものはかったるくて見てられなくなるのだが……まあいいじゃない、人には好きずきあっても……。
    関連記事
    スポンサーサイト






    もくじ  3kaku_s_L.png 風渡涼一退魔行
    もくじ  3kaku_s_L.png 鋼鉄少女伝説
    総もくじ  3kaku_s_L.png ほら吹き大探偵の冒険(児童文学)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 夢逐人(オリジナル長編小説)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 残念な男(二次創作シリーズ)
    総もくじ  3kaku_s_L.png ショートショート
    総もくじ  3kaku_s_L.png 紅探偵事務所事件ファイル
    総もくじ  3kaku_s_L.png 銀河農耕伝説(リレー小説)
    もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
    もくじ  3kaku_s_L.png リンク先紹介
    もくじ  3kaku_s_L.png いただきもの
    もくじ  3kaku_s_L.png ささげもの
    もくじ  3kaku_s_L.png その他いろいろ
    もくじ  3kaku_s_L.png SF狂歌
    総もくじ  3kaku_s_L.png 剣と魔法の国の伝説
    もくじ  3kaku_s_L.png 映画の感想
    もくじ  3kaku_s_L.png 家(
    もくじ  3kaku_s_L.png 懇願
    もくじ  3kaku_s_L.png TRPG奮戦記
    もくじ  3kaku_s_L.png 焼肉屋ジョニィ
    もくじ  3kaku_s_L.png ご意見など
    もくじ  3kaku_s_L.png おすすめ小説
    もくじ  3kaku_s_L.png X氏の日常
    もくじ  3kaku_s_L.png 読書日記
    【投票】へ  【「ウェッジウッドのひなげし」やってみた】へ

    ~ Comment ~

    Re: miriさん

    >聞きやすかった

    でしょ! 澤登翠さんの活弁を聞かせたかったんです! お年を召した松田春翠さんに対して若さゆえの伸びやかな声と深みのある演技で、衰亡するしかなかった活弁という話芸を復活させた功労者ですね。わたしは「忠次旅日記」を聞いて、一発でファンになっちゃいました。

    >イライラした

    ほんとイライラしますよね、この男(笑)。もとはといえば自分の短気と潔癖症が事態をエスカレートさせてるんじゃないか、っていう反省がみじんもないというw 日本人らしいですが、それと同様のことをいまの政府が諸外国に対する外交の場でやってるんじゃないかと思うとねえ……1対圧倒的多数なんてもういやですなあ。

    >スタントなし

    わたしはそう聞いています。大河内伝次郎なんてすごいもんで、コンタクトレンズのない時代に極度の近眼で模造刀を使ったチャンバラするので、相手俳優は打ち身でたいへんだったそうで……(笑)

    嵐寛寿郎さんの殺陣もすごいですよ。「鞍馬天狗」の立ち回りなんて、美しいのひとことですな。ストーリー的にはしょうもない映画ですが、YOUTUBEにあったと思うので、ご覧になることをおすすめします。

    サイレントは見るのに覚悟がいるかも知れませんが、活弁は落語や講談と並んで、後世に伝えていくべき話芸だと思います。一部のファンだけが楽しんでいるんじゃもったいないような気がします……(^^)

    よかったらまたサイレント日本映画をごらんくださいね~。

    >田村兄弟のお父さん

    ほんと、水もしたたるようなとはあれをいうのでしょうな。最高のフィルムがほぼ無傷で残ってるのは奇跡ですね……。

    こんにちは☆

    この映画を見ました☆

    >活動弁士として澤登翠さん

    とても聞きやすいお声で、わかりやすかったです♪

    今までにこの人の声を聞いたことがあるかどうかは
    ちょっと分かりませんが、この作品では
    あの字幕で、この声で、成功したと思います!

    内容は今現在でもちょいちょい見る内容で
    だんだん可哀想と言うよりもイライラしてきて(笑)

    でも最後まで引っ張る力が強くて
    (弁士さんのおかげが大きいかも?)
    良い時間でした。

    >どれだけたたきのめされても「絶対に諦めない!」と頑迷に繰り返してほんとに諦めない

    プリキュアはあまり知りませんが
    いろいろな作品でちょいちょい見ますよね(笑)。

    >特に、当時は、日清日露を戦い抜いて列強の一角となり、日本人が全員「刃向かうものは斬る!」みたいな視野狭窄状況に陥りかかっていたときでもあり、

    そういうことに疎いので、恥ずかしいです。

    >クライマックスの「圧倒的多数vs1人」というシチュエーション、いまではとても撮影できない殺陣がついている。ひとりで斬りまくる主人公に対して、捕り手が本物の瓦を屋根から次々と投げ落として攻撃する、なんて危険すぎるアクションをノースタントでやるんだぜ。よく平気だったな阪東妻三郎。

    スタントなしでしたか!
    それはそれは・・・。

    それ以前のチャンバラとは撮り方が違うと聞いたけど
    今現在では当たり前になっているから
    かえって違和感なかったですね。

    >夜間というはずなのに、画面が昼だ、

    まあ仕方ないんでしょうけどね・・・
    だんだん実は昼間までかかったのか?と思い込むくらいでしたね(笑)。

    >令和の時代劇なんてものはかったるくて見てられなくなるのだが……

    今年になってから
    昭和(陽気な殿様)
    平成(柘榴坂の仇討)
    令和(居眠り磐音)の
    時代劇を見ましたが

    (お正月に時代劇専門チャンネルでたくさんオンエアしたので)
    どれもそれぞれ良かったですよ!

    それらに比べると
    サイレント映画は見るのに覚悟がいりますしね。。。

    令和の学芸会的な作品でも
    それなりにこの先も作られて演じられていかないと
    国産時代劇がなくなってしまっては困りますものね!

    2ヶ月もかかってしまってすみませんでした。
    田村兄弟のお父さんはホントにお綺麗でした♪


    .
    管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

    ~ Trackback ~

    卜ラックバックURL


    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

    • 【投票】へ
    • 【「ウェッジウッドのひなげし」やってみた】へ