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    読書日記

    「一瞬の敵」読んだ

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    積読状態だったロス・マクドナルドのハードボイルド「一瞬の敵」を読んだ。

    いやーひどい家庭の話だった。ロス・マクドナルドといえばいつものことであるが、どうしようもない病巣を抱えた家族の闇を徹底的に書く人である。ロサンゼルスが舞台だが、なんというか、「悲惨だから許してあげよう」ではなく、「ドリフターズ!」の島津のお豊さんみたいに、「根切りぞ!」っていいたくなるくらいのひどい悪業がもうてんこ盛り。発端となる家出人の少年少女カップルを中心として、因縁が、関わる人間をどんどん不幸にしていく。それでもって主役の私立探偵リュウ・アーチャーはときたら、いろいろと介入はしようとするんだけど、それもことごとく無駄に終わり、悲劇のほとんどをただ見ていることしかできないのだ。

    「ウィチャリー家」や「さむけ」と比べるからかも知れないが、トリックは大技をやっているがいまいち不発。しかし内容のえぐさは上を行っていると思う。初めから不幸が定められている若いカップルに、作者はさらに重荷を負わせ、突き放す。悪党は弁護の余地なんてかけらも存在しないほど下劣な輩。であるから傍観者であることを強要されるアーチャーの哀しみがもう痛いくらいに伝わってくる。

    そういうクソみたいに重い話でありながら、読むとなると、今のラノベなんかよりよっぽどすらすら行けるんだよなあ。これは訳者の小鷹信光先生がうまいのか、それともわたしが80年代以前の小説の文体に過剰適応したおっさんであるからか……。うーむ。昭和は遠くなりにけり。

    なお、あらすじについては、未読の人に悪いので書かない。面白いので読め!
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