「ナイトメアハンター桐野(二次創作長編小説シリーズ)」
4 天使を吊るせ(完結)
天使を吊るせ 18-2
それは、まず、いわくいいがたい空気の動きから始まった。
わたしの肌を、なにか暖かいものが取り巻き始めたのだ。柔らかく、どこか安心できる空気の流れ……。
わたしはホッと息をついた。
しかし、それもつかの間だった。
わたしの身体に、なにかが貼りついてきた。なにか、粘液のような……それでいて粘液とは根本的に違うなにかだ。
そのなにかは、わたしの身体にくっつくと、異様な叫び声じみたものを上げた。
それは苦痛と飢えの叫びだった。
わたしは耳をふさごうとした。横では、同じように小学生が頭をかきむしっていた。
これが沢守澄麗の顕現なのか?
そんなはずはない。
そんなはずはない!
わたしは口でそう何度も何度もつぶやきながら、まとわりついてくるそれら粘液じみたものを払い落とそうとしていた。
……どれだけ時間が経ったか。
わたしは、いつの間にか周囲の様子が変わっていっているのに気づいた。
わたしは顔を上げ……。
見た。
最初はごく淡い光だった。
その光を浴びるや否や、粘液は朝日を浴びた霜であるかのようにさらさらの透明な液体と化して、わたしの身体からごく自然に流れ落ちていった。
わたしは自分でも信じられずに、腕や足をさすった。粘液が流れ落ちて消えたのは確かだった。
教授である小学生も、日なたぼっこでもするかのように座り込んで、光を身体に浴びていた。
日なたぼっこ。そう。イメージとしてはそれに近い。わたしが目にしていた光は、どんどんその光度とともに、熱量をも増していたからだ。
どう説明していいか、戸惑わないといったら嘘になる。これまでさんざん、光、光と書いてきたが、それは厳密には光と呼べるようなものではなかった。しかし、それでも光だった。「光」と呼ぶ以外に形容のしようがなかった。
かつて、神秘学の本を読んだことがあるが、そこに書かれている「霊的な光」というやつがいちばん近いかもしれない。以外かもしれないが、わたしのこれまでの生活の中でそういったオカルトの知識が役に立ったことはほとんどない。しかし、これは貴重な例外となりそうだった。
わたしは、これからいったいなにを体験することになるのか、期待とある種の恐怖を覚えながら、次を待った。
光と熱はどんどん強くなってくる。
そして……。
わたしは叫び声を上げた。
わたしの肌を、なにか暖かいものが取り巻き始めたのだ。柔らかく、どこか安心できる空気の流れ……。
わたしはホッと息をついた。
しかし、それもつかの間だった。
わたしの身体に、なにかが貼りついてきた。なにか、粘液のような……それでいて粘液とは根本的に違うなにかだ。
そのなにかは、わたしの身体にくっつくと、異様な叫び声じみたものを上げた。
それは苦痛と飢えの叫びだった。
わたしは耳をふさごうとした。横では、同じように小学生が頭をかきむしっていた。
これが沢守澄麗の顕現なのか?
そんなはずはない。
そんなはずはない!
わたしは口でそう何度も何度もつぶやきながら、まとわりついてくるそれら粘液じみたものを払い落とそうとしていた。
……どれだけ時間が経ったか。
わたしは、いつの間にか周囲の様子が変わっていっているのに気づいた。
わたしは顔を上げ……。
見た。
最初はごく淡い光だった。
その光を浴びるや否や、粘液は朝日を浴びた霜であるかのようにさらさらの透明な液体と化して、わたしの身体からごく自然に流れ落ちていった。
わたしは自分でも信じられずに、腕や足をさすった。粘液が流れ落ちて消えたのは確かだった。
教授である小学生も、日なたぼっこでもするかのように座り込んで、光を身体に浴びていた。
日なたぼっこ。そう。イメージとしてはそれに近い。わたしが目にしていた光は、どんどんその光度とともに、熱量をも増していたからだ。
どう説明していいか、戸惑わないといったら嘘になる。これまでさんざん、光、光と書いてきたが、それは厳密には光と呼べるようなものではなかった。しかし、それでも光だった。「光」と呼ぶ以外に形容のしようがなかった。
かつて、神秘学の本を読んだことがあるが、そこに書かれている「霊的な光」というやつがいちばん近いかもしれない。以外かもしれないが、わたしのこれまでの生活の中でそういったオカルトの知識が役に立ったことはほとんどない。しかし、これは貴重な例外となりそうだった。
わたしは、これからいったいなにを体験することになるのか、期待とある種の恐怖を覚えながら、次を待った。
光と熱はどんどん強くなってくる。
そして……。
わたしは叫び声を上げた。
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なんかやだぁ
ベタベタしているのとか僕自身耐えられないんですが。
しかもそれがはり付いてくるなんて・・・・
ぞっとします。
ベタベタしているのとか僕自身耐えられないんですが。
しかもそれがはり付いてくるなんて・・・・
ぞっとします。
- #891 ネミエル
- URL
- 2010.03/12 00:15
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Re: ネミエルさん
誰だってやだよな(^^;)
これについては後で説明しますのでしばしお待ちを(ホントか?)