「ナイトメアハンター桐野(二次創作長編小説シリーズ)」
4 天使を吊るせ(完結)
天使を吊るせ 25-4
「桐野さん、あなたも一緒にこの手を握ってください」
わたしはいわれるがままに手を握った。
沢守澄麗はうなずいた。
「いいですね。それでは、夢に入りましょう。長丁場を覚悟してください」
「だったら昼飯を抜くんじゃなかった」
わたしの軽口に、沢守澄麗はくすりと笑った。
「桐野さん、むしろ大事なのはわたしたちの精神の鋭敏さです。だからわざと昼食は取らなかったのですが……まあ、ここまできたらそんなことはどうだっていいですね」
「これが無事に終わったら、この前行けなかった韓国料理の店に案内しますよ」
「期待してます」
わたしたちは笑顔を交わし、目をつぶり、精神を集中し……。
夢へと入った。
平坦でなにもない空間、最初の印象はそれだった。
とんでもなかった。
抽象的な夢の世界へ降り立ったわたしは、突然後ろからぶん殴られた。
振り返っても、誰もいなかった。
次に衝撃がきたのは、わたしの脚だった。ハンマーと鞭の合成されたような、鋭い、しかも後になってからじんわりと響いてくる痛みが、わたしのふくらはぎを襲い、広がっていった。
わたしは当然のごとく転倒し、襲ってきたものがいったいなんだったのかを捉えようとした。
最初は、無駄なように思えた。
だが、よりよく注意して五感を研ぎ澄ましてみると、周囲の空間の中に、なにか異様なものが存在するのに気づいた。
いったいこれは……。
これ以上殴られたくはなかったので、わたしは大急ぎで身体全体を覆うプロテクターのようなものを物象化させた。
ヘルメットが物象化したところで、頭部に衝撃がきた。ヘルメットがなかったらノックアウトされていたかもしれない。夢の中で意識を失うとどうなるのかは考えたくもなかったが。
わたしは座り込み、感じた異様なものの正体を探ろうとした。いったいどんな夢魔だ……。
次の瞬間、わたしは自分がなにと向かい合っているのかを悟った。この空間自体が、ひとつの夢魔なのだ! 小野瀬孝史の意識は、そのままそっくり夢魔と化していたのだ!
ここで夢魔を攻撃するなり、殺すなりするということは小野瀬孝史を……?
突きつけられた事実に、身動きが取れなくなっていたとき。
暖かい霊的な光とともに、沢守澄麗が下位の夢世界からこの世界に浮上してきた。
わたしはいわれるがままに手を握った。
沢守澄麗はうなずいた。
「いいですね。それでは、夢に入りましょう。長丁場を覚悟してください」
「だったら昼飯を抜くんじゃなかった」
わたしの軽口に、沢守澄麗はくすりと笑った。
「桐野さん、むしろ大事なのはわたしたちの精神の鋭敏さです。だからわざと昼食は取らなかったのですが……まあ、ここまできたらそんなことはどうだっていいですね」
「これが無事に終わったら、この前行けなかった韓国料理の店に案内しますよ」
「期待してます」
わたしたちは笑顔を交わし、目をつぶり、精神を集中し……。
夢へと入った。
平坦でなにもない空間、最初の印象はそれだった。
とんでもなかった。
抽象的な夢の世界へ降り立ったわたしは、突然後ろからぶん殴られた。
振り返っても、誰もいなかった。
次に衝撃がきたのは、わたしの脚だった。ハンマーと鞭の合成されたような、鋭い、しかも後になってからじんわりと響いてくる痛みが、わたしのふくらはぎを襲い、広がっていった。
わたしは当然のごとく転倒し、襲ってきたものがいったいなんだったのかを捉えようとした。
最初は、無駄なように思えた。
だが、よりよく注意して五感を研ぎ澄ましてみると、周囲の空間の中に、なにか異様なものが存在するのに気づいた。
いったいこれは……。
これ以上殴られたくはなかったので、わたしは大急ぎで身体全体を覆うプロテクターのようなものを物象化させた。
ヘルメットが物象化したところで、頭部に衝撃がきた。ヘルメットがなかったらノックアウトされていたかもしれない。夢の中で意識を失うとどうなるのかは考えたくもなかったが。
わたしは座り込み、感じた異様なものの正体を探ろうとした。いったいどんな夢魔だ……。
次の瞬間、わたしは自分がなにと向かい合っているのかを悟った。この空間自体が、ひとつの夢魔なのだ! 小野瀬孝史の意識は、そのままそっくり夢魔と化していたのだ!
ここで夢魔を攻撃するなり、殺すなりするということは小野瀬孝史を……?
突きつけられた事実に、身動きが取れなくなっていたとき。
暖かい霊的な光とともに、沢守澄麗が下位の夢世界からこの世界に浮上してきた。
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