5 死霊術師の瞳(連載中)

    死霊術師の瞳 プロローグ

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     プロローグ 二〇一〇年



     裁判は思ったよりも短く済んだ。

     大野龍臣がつけてくれた弁護士は、戸乱島をめぐる事件の際にもわたしを弁護してくれた異常なまでに優秀な男だったが、世の中全てがどうでもよくなっているひとりの殺人者の根性を叩きなおすには向いていなかった。

     わたしは警察の質問すべてに対し、彼らが望んでいる答えを与え、裁判は終始検察側圧倒的優勢というペースで進んだ。

     弁護側最終弁論が行なわれ、ついにわたしに判決がいい渡されるときが来た。

     懲役七年。それがわたしに科せられた刑だった。

     わたしにはどうでもよかった。

     刑に服そうとも、反対に不服を申し立てようとも、なにをしたところで沢守澄麗がわたしの手に戻ってくることは二度とないのだ。

     だったらロボットのように道なりに進むだけだ。

     塀の外でマスコミがなにをいっていたのかは知らない。

     わたしが知っているのは、わたしが控訴を行なわなかったという事実と、それによって身柄が網走に移されたということだけだ。

     網走での生活は、感情の鈍磨したロボットと化した人間にはただただ単調なだけだった。

     夏が来て、冬が来て、夏が来て、また冬が来る。

     太宰治が「人間失格」のラストシーンに持ってきた、ただ、一年だけが過ぎていく、という生活をわたしはじかに体験していた。

     いつの間にかわたしは四十の坂を越していた。



     収監されてからというもの、毎日のように悪夢にうなされた。

     悪夢では顔の見えない誰かが、赤い血の海の中で散弾銃を握ったわたしを責め続けていた。

     だが、わたしには自分をどうすることもできなかった。

     沢守澄麗は正しかった。

     わたしはナイトメア・ハンターの力を失ったのだ。

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    ~ Comment ~

    Re: 椿さん

    七年後、というのはカンで決めましたが、七年前と比べると世界に対する危機感が半端ではないことに。

    小説が終わるまでに戦争が始まってなけりゃいいけど(汗)

    NoTitle

    遅くなりましたが、今年もよろしくお願いいたします<m(__)m>

    おおやった続き始まった!! そうですよね、そろそろだと思ってたんですよ!!
    ……桐野先生、これからどうなるんだ(^-^; プロローグから(ある意味)ドキドキしちゃってます。

    Re: れもんさん

    はい七年後です。すみませんです(汗)。

    ほんとは今すぐにでも書きたいんですが、七年後までに日本が戦争にでも巻き込まれていたらどうしようもないですし。

    かといって、あんな大事件で人をひとり散弾銃で命を奪っておいて、懲役四年とか三年で執行猶予がついたりしたらウソみたいですし。

    やっぱり七年が相場だろう、と……。

    うーむ。

    題名の件ですが、「夢に入れなかった人間が夢に入る」ところにドラマいうものが生じるのではないかなあということでカンベンしてください(^^;)

    フィーリングですよフィーリング(←なにがフィーリングだ(^^;))

    うーむ。

    明朗快活バカシリーズは、やってみたらギャグを入れるのがなかなか難しいことがわかりました。でも30分以上使ってしまうと並行して書いている投稿用作品のほうが……。

    うーむ。

    NoTitle

    2017年!??な、七年後!??Σ(´Д`*)ノ

    ああうう先生・・・。夢に入れなくなったらナイトメア・ハンターじゃないじゃないですか・・どうなるんだ・・

    明朗快活バカシリーズも楽しみにしてます★
    30分間ですか・・私には無理だな・・

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