「範子と文子の驚異の高校生活(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)」
    範子と文子の三十分一本勝負(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)

    範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・1

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    「文子。文子いる?」
     夕暮れ。平凡な学校。制服姿の少女は、そういって友人を呼んだ。
     長い髪。つややかに輝くそれは、遠目から見るとどこか金色がかって見える。
     宇奈月範子。
     宇奈月財閥の後継者であるお嬢様だった。
    「ごめーん、範ちゃん。遅くなっちゃって」
     扉を開けて、すらりとした少女が、空のバケツを二つ抱えて教室へ入ってきた。
    「文子、なによそのバケツ」
     呆れたようにいう範子に、文子と呼ばれた少女はバケツを持ち上げて答えた。
    「なによって……廊下の掃除をしていたんだよ、範ちゃん」
     範子はバケツと友人の顔に視線を往復させた。
    「廊下の掃除って……どこまでやっていたのよ、文子」
     文子はバケツを床に置くと、律儀に教室の入り口まで歩いた。これまた律儀に、範子も後についていく。
     引き戸から首を出した文子は、範子の目の前で、
    「あっちから」
     といって扉の左方、廊下の果てを指差し、そして、
    「あっちまで」
     といって扉の右方、廊下の果てを指差した。
     範子は頭痛を覚えたようだった。
    「あのね、文子。廊下の掃除っていうのはね、自分の教室の前だけやってればいいの。なにも他の教室の前までやることはないでしょう。そんなことしていたら、時間と体力がいくらあったって足りないわよ」
     文子はその言葉を聞いて泣きそうな顔をした。
    「だって、範ちゃん。範ちゃんにも覚えあるでしょう。ほうきとちりとりでゴミを集めていたら、取っても取ってもゴミの細かいのが取りきれなくて、どこまでもどこまでもゴミを取ろうと後ずさりしてしまう経験」
     範子はびしっといった。
    「ないっ!」
    「そんなあ」
    「それにだいいち、さっきあなたが持っていたのは、バケツとぞうきんじゃない! 文子、あなた、果てしなくぞうきんがけをしたのね。あなたにつきあって、ぞうきんが擦り切れなかったのが奇跡のようなものよ」
    「最近のぞうきんはじょうぶだから」
     泣きそうだった顔を今度は一転してほがらかに変え、文子は笑った。天使のような笑顔だった。
     その笑顔に、範子はちょっとどきっとした。
     頭を振って邪念を追い払う。
    「どうしたの、範ちゃん?」
    「なんでもないわ」
     自分がもしかしたらアブノーマルな趣味を持っているのではないかとかすかにおびえる範子であったが、その内心は文子に感づかれてはいないようだった。
    「で、掃除に三時間もかかったってわけね」
    「えへへ」
     照れたように笑う文子に対し、範子もつい笑いがこみ上げてきた。
    「まったくもう、なにもね、文子、三キロもぞうきんをかけることはないのよ。普通は途中でやめるでしょ。この学校の廊下は、試作品の走行実験にも使われることがあるんだから」
     そういって、ポポイラ星ヒレレバ工業大学自動車学科の三年生である、範子と文子は、窓から、今にも落ちそうになっている赤色巨星を見てゆっくりと肩を組んだ。
     範子と文子が、人間であるかどうかについては定かではない。
     しかも、明日になれば、いつの間にか学校や身分までもが変わっているかもしれないのだ!
     ぐわんばれ! 範子! 文子!
     三十分では限界があるけれどな!
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    ~ Comment ~

    Re: ひゃくさん

    宇宙の大学は厳しいのであった(笑)

    NoTitle

    大学で掃除しなきゃならないなんて…

    > ほうきとちりとりでゴミを集めていたら、取っても取ってもゴミの細かいのが取りきれなくて、どこまでもどこまでもゴミを取ろうと後ずさりしてしまう経験

    (笑)

    Re: たおるさん

    こういうバカバカしいのも好きなんです(^_^)/

    むしろこっちの路線の本領かなあ。

    もしかしたらわたしは表裏のある性格なのかもしれない(^_^;)

    ほんとにこのシリーズ百編あるので、ゆっくりとふたりのバカ娘ののほほんとした高校生活を楽しんでください。

    実はけっこう気に入っていたりします。(^_^)

    NoTitle

    タイトルにギャグって見えて読んでみました。

    私のなかでポールさんは、真面目でいつも難しいこと考えてるイ人ってメージがあったので(勝手にすいません)、ギャグも書くのかと驚いてます(笑)

    文子さんいいですね(^-^)友達にほしいです♪ポポイラ星ヒレレバ大学も笑いました。
    また続き読みます!

    Re: fateさん

    この「範子と文子の三十分一本勝負」では、もう、ルール無用、なんでもアリです。

    ありすぎて困るくらいです(笑)

    このバカ娘ふたりがあそこまで成長するとは……(意味深)

    「範子と文子が、人間であるかどうかについては定かではない。
     しかも、明日になれば、いつの間にか学校や身分までもが変わっているかもしれないのだ!」

    ↑それって、ありなのかっ!!!

    最後まで行ってからコメしようと思ったのに、あまりの驚愕に思わず・・・

    ま、fateの背徳に比べりゃ、世界平和を勝ち取る大義名分で何もかもどうにでもなるわな(・・;

    Re: 蘭さん

    いやーマジメに笑ってもらうために書いているんですから、マジメに読んでいただかないと……(^^) あっうそですうそですてきとーに読んでいただいてもまったくかまいません(^^)

    範子と文子は、いつもは紅恵学園に通う17歳のふつーの人間の美(?)少女なんですけどねえ。時として人間以外のものにもなってしまいかねないという(笑)。

    今後どれだけひどい生物(?)になってしまうかもご期待ください(え)

    連コメ☆

    ・・・・・・・・このお話、どーもマジメに読んではいけないみたいですね?(爆)

    あまりにもオチがおかしくて、またもや転げ回って笑ってしまいました~v-411
    面白い! 面白過ぎる! サイコーですv-9

    >ポポイラ星ヒレレバ工業大学自動車学科

    既に、人間じゃないってトコが・・・・・・・(笑)。

    Re: れもんさん

    みなさんちりとりのカスには難儀しておられるようで(^^)

    わたしは掃除では黒板の掃除が大好きでした。

    あのチョークで汚れに汚れたところを雑巾でクリアにしていく快感……!

    なにもかも懐かしいです。

    ギャグに疲れきるまでとうぶんこのノリが続きますがおつきあいください。

    Re: 佐槻勇斗さん

    わたしは教室のゴミを取って、廊下に出たところでぱっぱっとやっていました(^^)
    ちりとりというものは欠陥品の掃除道具だと思います(笑)。

    桐野くんが陰惨なことになってしまったので、ひたすらハッピーでバカなことをやろう、と思いまして。
    でもどちらかといえばこういうくだらないほうが本領かな……(^^)

    NoTitle

    ああ、ちりとりのカス・・すっごく分かりますb
    教室の前の廊下掃除をしてから、近くの階段へ落とすか、隣にやるか、足で散らかして誤魔化しますよv(駄目
    まぁ、でも隣の廊下の人もこっちにごみをやってくるのできりがないんですけどw
    というか、ぞうきんがけさぼってやってない事もしばしば・・・(駄目;;

    面白かったです★

    NoTitle

    >取っても取ってもゴミの細かいのが~

    わかるよ文子!!w(゚∀゚)w
    佐槻もそれやって、でも自分の教室の前でぴたっと止めてましたけどね!!← カスは隣のクラスへぱっぱっとヾ(ω`)

    ポールさんもこういうの書くんですね♪ なんだか新鮮です♪♪

    Re: ネミエルさん

    わたしはコミケのほうではバカなギャグネタだらけのくだらない本ばかり売っています。
    むしろこっちのブログのほうがネコをかぶっていたというか(^^)

    マジメ小説もいいのですが肩もこって……(^^)

    分量的にはたいして違いはありませんが、「探偵エドさん」は1話描くのに最低でも3時間以上かかるのに対し、こっちは30分ですからねえ(笑)
    ある意味30分と時間を区切るのも前衛的なこころみかもしれん(←ウソだ! 手抜きだ!(^^;))

    うぉぅ
    ポールさんがギャグ路線…だと?

    明日は雨かな…(ぇ)
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