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    「範子と文子の驚異の高校生活(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)」
    範子と文子の三十分一本勝負(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)

    範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・3

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    「ねえ、文子」
     宇奈月範子は完全にゆるみきった表情で、隣の下川文子に声をかけた。
    「な~に~、範ちゃん?」
     文子もまた、完全にゆるみきった表情をしていた。
     範子と文子、二人きりしかいないとはいえ、ここはいやしくも紅恵学園の教室、ゆるみきるような表情を取っていいはずもない。
     しかし、二人は完全にでれっとしていた。
     ある意味、当然ともいえる。
    「文子、やっぱりバリ島で潮風を受けながら寝椅子でごろ寝しているのは最高よねえ」
    「うん、わたしもそう思うよ、範ちゃん」
     その通りであった。紅恵学園の教室は、なぜかバリの砂浜に移動していたのである。
     なぜかはわからない。この小説に理由なんて存在しないからだ。
     二人とも水着姿だった。大胆なビキニである。なぜなら作者が学園ものでなにが嫌いといって、スク水とブルマ以上に嫌いなものはないからだった。あんなもののどこが女性の美なんだまったく。
     それはさておき。
    「パイナップルジュースにも飽きたわね」
     範子はそばの机に置かれたトロピカルドリンクの大きなグラスを取り上げ、ストローに口をつけてひとすすりした。
    「じゃあ、このやしの実のジュース、あげる? これ、わたしには、多すぎるから」
     頭のところで横にすぱりと断ち割られ、ストローだのフルーツだのが突っ込まれている大きなやしの実が、文子から範子に手渡された。
     さっきまで文子が飲んでいたストロー!
     範子はどきどきするのを覚えながら、どことなくぎくしゃくした動きでやしの実を受け取り、ストローに口をつけてジュースを飲んだ。
    「うふ、うふふふふふふふふ」
     範子は妙な愉悦を顔に浮かべている。
    「範ちゃん、幸せ?」
     文子が範子の手に手を重ねてきた。
    「幸せ。しあわせ。すご~くしあわせ」
     範子の顔はロウ細工を火にかけたときのようにとろけまくりだった。
    「じゃあ、範ちゃん、このことは知ってる?」
    「え?」
    「もうすぐ、ほら、あれを見て」
     文子は上空を指差した。
     つられて範子も空を見る。
    「……飛行機?」
     そうだった。飛行機が飛んでいる。それも無数の数だ。
    「なに、あれ?」
    「日本軍の空母、翔鶴と瑞鶴から飛び立った、艦載機の零式艦上戦闘機よ」
    「零式……って、ゼロ戦? ちょっと、そんなものがなんでこの二十一世紀に飛んでいるのよ!」
     文子は、いたわるような目を範子に向けた。
    「いったい、誰が、今が二十一世紀だなんていったの? 今は一九四三年、太平洋戦争まっただなかよ」
    「でも、ここは平和なバリ島で……」
    「だからといって、日本軍の上陸作戦が行なわれないわけがないでしょう?」
     ゼロ戦が急降下してきた。
    「防空戦闘機部隊は壊滅したみたいね」
     ドライな文子のものいいに、範子は歯の根が合わなかった。
    「だ、だって、バリ島で日本軍が戦ったなんて、聞いたことないわよっ!」
    「わたしも初耳よ、範ちゃん。だけどこれは、現実なの」
     はっと範子は思い至った。
    「文子、こ、これって、夢オチだよね?」
    「作者さんはね」
     文子は淡々と事実のみを述べた。
    「夢にまつわる小説ばかり延々と書いたから、もう、とうぶん夢はいやだ! っていって夢オチを投げ出しちゃったみたい」
    「ということは……これって?」
    「現実も現実、ありえたかもしれない本当の現実よ」
    「じゃあ……」
     文子は立ち上がった。
    「機銃掃射に当たれば死ぬわよ」
     範子もはじかれたように立ち上がった。
    「逃げる! 逃げるわっ! ……でもどこへ? 悪夢? 夢オチ! 夢オチ!」
     
    ……わたしは夢オチにだけはしない男なのであった。
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    ~ Comment ~

    Re: ひゃくさん

    どこかで合意点を見つけないと千年経っても終わらないだろうと思ったので(笑)。

    NoTitle

    > うむ、ごもっとも。

    おー!
    ご賛同いただけた。
    うれしいー(笑)

    Re: ひゃくさん

    うむ、ごもっとも。

    誰もが好きな服を着ることのできる共産主義ユートピアを求めて革命だ!(何故)

    NoTitle

    > ここまでくると後は個人的趣味の領域

    ホント、ホント(笑)

    > 様々な「かわいい服」をドラフト制で生徒個人が選ぶという多様化社会のほうがええんとちゃうか、と。

    でも、“様々な「かわいい服」をドラフト制で生徒個人が選ぶという多様化社会”を、世間が個人に押し付けているのが「今」なんじゃないかと…(笑)

    Re: ひゃくさん

    ここまでくると後は個人的趣味の領域ですが、「制服」というものは公権力による個人の抑圧の象徴だろうと考えています。衣服の差をなくすのなら、様々な「かわいい服」をドラフト制で生徒個人が選ぶという多様化社会のほうがええんとちゃうか、と。

    NoTitle

    > 先代の円楽さんがいってました。

    円楽は、どっちかというと、あまり好きじゃなかったかなぁ…(笑)

    > 許せないのはブルマとスク水です。

    ま、そっちの方はほとんど興味ない(中身にしか興味がないwww)のでなんともいえないですけど、でも、紺が似合う年頃…、というか、紺が映える年頃?
    ていうか、女性(女の子)って、紺色の服を着てる姿がキレイな年頃っていうのがあるのかなーと(笑)

    そーいえば、中学生の時、体育の時間になると、同級生のブルマ姿を、もぉワクワクで見てるヤツがいて。
    いや。最初は、ソレを見てるってわかんなかったんですよ。
    でも、体育の時間になると、いつもやたらはしゃぐんで。
    聞いたら、ソレがいいんだと(笑)
    変なヤツと思いながらも、一緒に見てたら、あー、なるほど!って(爆)
    ま、誰しも、青春の一時期、そんなことにワクワクしちゃう時期っていうのがあるのかもしれませんねwww

    Re: ひゃくさん

    ビキニはいいのです。許せないのはブルマとスク水です。さして機能的にも見えなければ女性を美しく見せようという意図もない、正直いって極めて『ダサい』ものを、いつまでも少女に着せようというのは、女性を完全に支配下においておきたいと考える権力側の陰謀ではないか、と先代の円楽さんがいってました。

    NoTitle

    > あんなもののどこが女性の美なんだまったく。

    だったら、ビキニもいらないんじゃ…

    > ……わたしは夢オチにだけはしない男なのであった。

    あ、それは宿題ですね。
    ポール・ブリッツさんの納得する夢オチっていうの、ちょっくらお願いします(笑)

    Re: tomokoさん

    ホームズ・パロディを面白がっていただいてありがとうございます。

    ブルマが嫌いだというのは、なんとなく、「古くささ」を感じるからです。

    もちろん、ブルマが好きだ、という人もいていいと思いますが、なんとなく、わたしはだめですね。あれよりもジャージのほうが好きです。

    鍋もいいですし、もつ鍋なんて大好きなのですが、毎日毎日そればかりになりそうで……(^^;)

    初めまして。
    ホームズ・パロディがとても面白かったので、他の作品もどんどん読ませて頂きました。作品の素晴らしさは他の方が述べ尽くしておられますから私風情が申し上げることは無いのですが、ブルマが嫌いだと公言される方は初めてお見受けしましたので、少々驚かされました。
    それから、余計なお世話でしょうが、自炊をなさるのであれば鍋物は作るのが楽で野菜もたっぷり摂れますし後片付も楽でお薦めです。自炊、頑張って下さい。

    Re: 面白半分さん

    ひたすらにバカな小説が書きたいと思いまして(^^)

    極真空手の「百本組手」をしているような気分でした。

    百話も書くとネタが(^^;)

    NoTitle

    はじめてこちらのシリーズに入らせていただきます。
    細かいくすぐりが多いようで楽しいです。
    今後も頑張ってください、



    っていうか
    すでに100fight完了されていたんですねえ。

    Re: ヒロハルさん

    いつもはつまらない小説ばかり書きやがって、しっかりしろこのやろう、という激励だと受け取っておきます(汗)

    毎日毎日更新に追われて、半分やけくそで書いてますから、そのぶんだけ「必死」さが違うのかもしれません。

    これからもよろしくお願いします。あと2ヶ月はこれが続くはずでありますので……。

    スミマセン

    本当にスミマセン。
    完全に見過ごしていましたが・・・・・・このシリーズ面白いです。笑。

    遅ればせながら続きを読みます。
    スミマセン。

    Re: れもんさん

    わたしがよく飲む100パーセントパイナップルジュースはドールの紙パックですが、どろどろになっていたというのは覚えがありませんね。

    メーカーによって違うのでしょうか?

    精製とかを考えずに普通にしぼったらどろどろになるでしょうから、ある意味良心的なメーカーなのかもしれませんそこ。

    ちなみに、炭酸でも入っていない限り、たいていのジュースは軽く振ったほうがいいみたいであります。


    >夢オチ

    するかもしれません(弱っ(^^;))

    NoTitle

    さっき、100%のパイナップルジュースを飲もうとしたら、なんかどろどろでした(o_ _;;o) (何)ポタージュの様にどろどろで・・一瞬そう見えました;(馬鹿)・・・振らないといけなかったんでしょうか?いやでも、容器が牛乳パック的な感じだったので振るのはおかしいような・・(汗)濃いかっただけ・・・?

    夢オチにはしないんですねw

    Re: ネミエルさん

    ベトナム戦争の戦訓から、ミサイルを撃ちつくして丸裸になった戦闘機の最後の武装として、たいていの戦闘機には20ミリ以上の口径の機関砲が備え付けられています。

    だから地上支援の機銃掃射も当然できます。できたはずです。

    しかし、現代においては、地上支援をやるのは、「攻撃機」「戦闘爆撃機」の任務となっているのがふつうであります。

    そこらへんはまあいろいろと複雑でして……(^^;)

    Re: 佐槻勇斗さん

    スク水はたしかにシンプルですけれど、女の子にはもうちょっと洗練されたものを着てほしいな、と思います。

    水泳帽もなあ。速く泳ぐためにはしかたないんですけど。

    うーむ。

    Re: 神田夏美さん

    ありがとうございます。

    バカなものも書きたくなりまして。

    日常の細かいことを忘れて楽しんでいただけたら無上の喜びであります。

    ところで、日常といえば、いろいろとたいへんな時期のまっただ中だと思うのですが、うまく目的をかなえることができましたか?

    神田夏美さんのことですからたぶん大丈夫だろうとは思いますけれど(^^)v

    お疲れ様です、二人とも

    南無

    そういえば今の戦闘機って機銃掃射出きるんですかね?

    NoTitle

    ブルマは佐槻も理解できないですけど、
    スク水は好きです(´∀`人)
    シンプルでかわいいス♪
    ただ、あの水泳帽がなんとも言えない……;;

    NoTitle

    お久しぶりです。というか久々に来てみたら全く毛色の違う小説があってびっくりです(笑)
    他の方もおっっしゃってますが新鮮ですね、でも面白いです!私はこういうの好きです♪
    範子と文子のまったりとしたやりとりがおもしろくて……何か、頭空っぽにして楽しめます♪^^
    また続きも読みにきますね~♪
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