「範子と文子の驚異の高校生活(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)」
    範子と文子の三十分一本勝負(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)

    範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・14

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    「赤~コ~ナ~! チャンピオン~宇奈月~のり~こ~!」
    「わー」
     文子はお義理に拍手した。
    「青~コ~ナ~! ちょう~せんしゃ~下川~あや~こ~!」
     範子は手をひらひらと振った。盛り上がっている場をイメージしているらしい。
    「で、範ちゃん?」
     文子は頬杖をついた。
    「これから、なにで遊ぶわけ?」
    「う……」
     範子はそれまでのハイテンションが嘘のように下を向いた。
    「それはいわない約束じゃない? 文子」
    「だって」
     文子は指を一本一本ていねいに折っていった。
    「指相撲はやった、腕相撲はやった、ジャンケンはやった、十円玉でおはじきはやった、三目並べはやった、コックリさんはやった、あと、それからええとなにをやったんだっけ」
     以降も文子は例を挙げ続け、数えた指が十をオーバーして二往復したところで、範子は指折り数える文子を止めた。
    「わかった、わかった、わかったわよ。でも、仕方ないじゃない。この状況を考えると」
     範子は窓から外を見た。
     一面の水だった。
    「この教室、この2-Aの教室だけが、わたしたちとともに、こともあろうに、どこかの無人島に飛ばされてしまったんだから、時間をつぶすしかないでしょう」
    「でも、ここでじっとしているだけっていうのも、頭がどうかなりそうだよ、範ちゃん」
     文子は頭をかきむしった。
    「もう、わたし、限界……」
     とはいっても。
     これまでの生活や学校の授業で、こんな異常な状況下でのサバイバル方法なんて教えてもらってなかったわよねえ、と考える範子であった。
    「まあ、わたしたちにできることは」
    「できることは?」
    「知恵もなければ道具もないんだから、黙って誰かの救助を待つことよ。できるだけ体力を温存するようにして」
    「それはわかっているけど」
     文子は非常食料のビスケットをぽりぽりかじった。
    「退屈だよ、範ちゃん」
     教室に、家庭科の授業で焼いた大量の固焼きのビスケットと、研究授業で使うための大量のミネラルウォーターのペットボトルがあったのは幸いだった、と範子は思ったが、退屈なのにはどうしようもない。
    「待つのよ、文子。わたしも、待つから……」
     待ちきれなくなったらそのとき自分が文子に対してなにをしでかしてしまいかねないかの光景が頭に浮かび、思わずぞっとする範子だった。範子は頭をぶるぶる振った。
    「…………?」
     ふと、文子が窓の外を見た。
    「どうしたの?」
    「いや……見間違いかもしれない」
    「え?」
     範子も文子の視線の先に目を向けた。
    「なにも見え……あっ、あれは!」
     それは、船の煙に間違いなかった。
    「やったわ! 文子! 助かったのよ! すぐに窓から外へ! 上着を脱いで、おーい! おーい! ってやりましょう!」
     二人は窓から身を乗り出し、上着を脱いで振りながら、「おーい! おーい!」と可能な限りの大声で怒鳴った。
     気づいたのか、船が、針路をこちらへ変えた……。

    「文子」
    「なあに、範ちゃん」
    「どうしてあの船、中にいるわたしたち人間じゃなくて、教室だけ救助していったの……?」
    「知らない……」
     無人島にぽつんと残された二人は、顔を見合わせて、大泣きした。
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    ~ Comment ~

    Re: ひゃくさん

    勉強だったら続編でくさるほどやることに(笑)。

    NoTitle

    > 「退屈だよ、範ちゃん」

    勉強すりゃぁいいじゃん(笑)

    Re: 小説と軽小説の人さん

    現地住民が住めるような広い無人島じゃないのです(笑)

    休むつもりだったのですが、身体に染みついた「更新しなくてはリアル生活で調子が出ないよ癖」が……(^_^;)

    馬鹿と言う設定だから現地住民に見えたのでは?(笑)

    と言いますか、ポールさん休むんじゃなかったんですかー。追いつきませんよ(汗)
    • #10776 小説と軽小説の人 
    • URL 
    • 2013.06/30 21:40 
    •  ▲EntryTop 

    Re: 神田夏美さん

    無人島はつらいですよ。

    食糧供給手段がなきに等しいので。

    生活に追われて恋愛なんかやっているヒマはありませんね、きっと。(^^;)


    今は懸命に「第二章」を書いています。今月中にお見せできればいいのですが……。

    NoTitle

    無人島に二人っきりなんて恋のフラグが立ちそうなシチュエーションですね(笑)

    無人島ってサバイバルとか恋愛イベントとか、意外と創作には欠かせない場所な気がします。普通に生きてたら一生行くことなんてないだろうになあ^^


    作品への感想、本当にどうもありがとうございます。ううむ、ラノべって難しいですねえ……送り先をもう一度考え直してみます。

    ポール・ブリッツさんの作品もこれから楽しみに読ませて頂きますね~♪^^

    Re: 佐槻勇斗さん

    実はあの船、外宇宙から来たロボットで、無生物の教室を救助することが正しいことだと思っていたのかもしれません。

    今日もあの二人の娘は教室でバカなことをやっているであります。ひどい投げっぱなしオチ(^^)

    Re: れもんさん

    もともと、西洋でウィジャ板という板を使って行なわれていた、コックリさんの原型では、占いというか一種のゲームとして遊ばれていたようですね。貴族の間で大流行したとか聞きます。

    だからゲームに入れてしまいましたが、ううむ怖がる人は怖がるんだなあ(汗)。

    以後こういう、変な不安を与える記述をすることがないようにします。

    オチは書きながら考えました。だからどういう事態なのかわたしもよくわかりません(^^)

    NoTitle

    実はその教室は壁の塗装を剥がすと金だった! とかw
    明日は彼女らいったい何処にいるのでしょうか??笑

    NoTitle

    コックリさん。あれ、怖いんですけど;そういう占い大の苦手で・・。
    絶対出来ないです、そういうの・・。自己暗示だとは言われてますけど・・。
    あとかごめかごめとか。歌詞にこめられている色んな意味が・・。
    あーもう駄目だ・・。後ろ向けないっ(ノω;`)はわっ、寒気が!!

    教室だけ救助とかどうしたらそんな事が・・(笑)

    Re: ネミエルさん

    ネミエルさんの戦艦って、古代ベルカ帝国の超技術を惜しげもなくつぎ込んだスーパーメカのかたまりなのに、洋上を煙を出して進むんですか!(^^)

    まさか航行システムだけは蒸気タービン?(^^)

    実はその船は僕の戦艦だったのだよ!

    (ネタバレ(笑))
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