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    「範子と文子の驚異の高校生活(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)」
    範子と文子の三十分一本勝負(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)

    範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・27

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    「み、見えない! なにも見えないわ!」
     髪を振り乱して暴れる範子を、おろおろしながら文子はなだめた。
    「どうしたの、範ちゃん! 急に目が見えなくなったの?」
    「それも面白いわね」
     範子はぽん、と手を叩いた。
    「まるでジョン・ウィンダムの『トリフィド時代』みたいで。今度機会があったらやってみようかしら」
    「そんなホラーSFの古典なんて今どきの人は誰も読んでないよ!」
    「それは残念ね。近ごろのライトノベルなんて束になってかかってもかなわないくらい面白いのに」
    「そんな話はしていないよ。範ちゃん、だったら、目は見えるんだね。視力はあるんだね!」
    「きちんと文子のかわいい顔も見えるわよ。だから安心して」
    「よかった……って、じゃあ、なにが見えないの?」
    「時計よ」
    「時計?」
    「そうよ」
     範子はうなずいた。
    「作者は、キッチンタイマーを、残り時間が見えないように机に置いて、音だけを頼りにこの『三十分一本勝負』を書こうとしているのよ!」
    「うわあ、まるでそれって……」
    「時計を忘れた試験会場、というところね」
    「ああ、あれって、怖いんだよね。時間配分ができないから、いらいらそわそわしながら問題を解いていって、あとちょっと、というところで、無情なベルの音が鳴るのがパターンだもん」
    「やったことあるの? 文子」
     なぜか急に文子は赤くなった。
    「な、ないよ、あるわけないよ、範ちゃん。ないってば」
    「ふうん……」
     意味深な目になった範子に、文子は激しく手を振った。
    「そんなことより、今回は、オチは決まってるの?」
    「オチ? オチって何語? 巨人のピッチャー?」
    「え……」
    「オチなんて決まってないわよ。オチまでたどりつけるかどうかすらわからないのに」
    「ちょ、ちょっと、無責任だよそれ。範ちゃん、ショートショートって、オチがついて、さてどうですかっていう小説形態でしょう?」
    「細かいことにこだわっていては出世できないわよ」
    「出世って……」
     文子は頭がガンガンしてくるのを感じた。
    「方向性がなかったら、わたしたち、どうやって話を進めたらいいの?」
    「流されるまま。それが現代詩の常套手段とされる自動筆記というもので」
    「自動筆記って、そういう意味じゃないと思うよ、範ちゃん」
    「どうでもいいのよ。原稿さえ埋まれば」
    「そういうものなの……?」
    「ところで話は変わるけど、北朝鮮がさあ」
    「時事ネタに無理して振ることはないよ、範ちゃん。どうせあの国の事情や、日本を取り巻く地政学的状況なんて、ニュースでも本でもさっぱり理解できないんでしょう、範ちゃん?」
     範子は笑みを浮かべた。
    「バレてはしかたないわね、文子」
    「それにしても、わたしたちって、普通の女子高生が話すような会話をしていないね」
    「しかたないわよ。作者が学生だったのは遠い昔の話で、しかも女子高生というのはやったことがないそうだから」
    「作者は男なんだから当たり前だよ範ちゃん!」
     範子は腕時計を確認しようとした。
    「そろそろ時間じゃないの?」
    「時計は持っていないってさっきいっていたでしょ、範ちゃん。これで時間ぴったりにオチをつけられたら、作者は人間タイマーになれるよ」
    「まあそれもそうね……」
     範子はうなずいた。
    「ところで、このシリーズについて疑念があるんだけど」
    「なあに?」
    「文子、よくよく考えてみたら、このシリーズ、駆け出しのアマチュア作家がよくやる、時間がかからなくて安易な手段、『作中人物によるあとがき風座談会』と、いったいどう違うの?」
    「え……」
     文子は言葉に詰まった。
     考えてみれば、確かにこのシリーズのこの内容は、『あとがき風座談会』といわれてもしかたがなかった。
     しかしここで突如。
    「臨時ニュースって知ってる、文子?」
    「知っているけど、どうしたの、範ちゃん?」
    「急な事情で、タイマーを止めて作者が席を外したのよ。そう、タイマーが再び動く間に、現実時間では三時間が過ぎていたのよ!」
    「それなら実験作になるね、範ちゃん!」
    「そうよ、文子! わたしたちとこの小説は救われたのよ!」
     めでたしめでたしって……そんなのあるかい!

     えー。サッカーのロスタイムみたいに時間が余ったので、小噺やります。
     隣の空き地に囲いができたってねー。
     ……オチをかんが
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    ~ Comment ~

    Re: ひゃくさん

    あらほんと。

    再版されて安くなったかと思ったらプレミアまでついてやがる(^^;)

    個人的にはウィンダムでは「海竜めざめる」の方が好きです。星新一先生の分かりやすい訳文が送る絶望的かつ一方的なまでの宇宙戦争!

    アマゾンを調べてみて、「なんでトリフィドは300円なのにこっちは55円なんだ」と妙なところにムカッ(笑)

    NoTitle

    > そんなホラーSFの古典なんて今どきの人は誰も読んでないよ!

    それ、ウチの親父が好きで。
    子供の頃から、さんざん聞かされてたんで、読もうと思ったら、結構古本高かったです(泣)

    > バレてはしかたないわね

    風見シローか!(笑)

    > 駆け出しのアマチュア作家がよくやる、時間がかからなくて安易な手段、『作中人物によるあとがき風座談会』

    そういう風習があったんだ!

    今回は、オチがかこいーかったですね(笑)

    Re: ネミエルさん

    そろそろ作者の内的な部分と読者の求めるものが乖離してくる頃合いで……(^^;)

    というか誰にでもわかるタイプのネタがないので四苦八苦でありまする(汗)。

    NoTitle

    よくわからないことになってますがなwww
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