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    「範子と文子の驚異の高校生活(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)」
    範子と文子の三十分一本勝負(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)

    範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・31

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    「落語……」
     範子は寝不足らしさが見える顔で文子にいった。
    「落語? 落語がどうかしたの、範ちゃん?」
    「作者が……」
    「作者が?」
    「作者が、落語を一本書いたのよ。三時間ぶっ通しでパソコンに向かって」
    「はあ」
    「当面発表する気もないようだし、相互リンク先の人のブログをもとにした二次創作落語だから原作者の了解も取らなくちゃならないし、もうたいへんで……」
    「それで、睡眠不足?」
    「だって」
     範子は力なく指を立てた。
    「これ書いているの、深夜よ」
    「そりゃあ眠くなるね、範ちゃん」
    「もう、『鬼玉』さえも終わっているわ。そして、ここから先を越えてしまったら、明日は眠くて眠くてPCに向かってもほとんど何もできなくなるのよ。それが定番なパターンなのよ」
    「それはそうかもしれないけど……」
    「だから早く寝なさいっていったのに、作者ときたら昨日もPCに向かいすぎ、今日はふらふらでなにもできず……」
    「それって、自業自得っていうんだよ、範ちゃん」
    「作者が自業自得で一日ふらふらで過ごすんだったらそれはそれでいいのよ。でも、人を巻き込むのはどうにかしてほしいのよ。まったく!」
     文子は、ポケットからブラックブラックガムを一粒取り出し、範子にすすめた。
    「受験生の友達だよ、範ちゃん」
    「ありがと……」
     範子はブラックブラックガムを噛んだ。ご存知の人は多いかと思うが、ブラックブラックガムというやつは、眠気を感じていないときは実によくきくが、眠気を感じているときには何の役にも立たないものなのだ。
    「それで、範ちゃん、その落語は面白い出来なの?」
    「作者は、面白いっていってた」
    「じゃあ、いいじゃない」
    「でも、作者の判断よ? あいつが自分で面白い出来だっていってたものに、面白いものってあったためしがあった?」
    「え……」
     文子は必死で記憶を探った。
    「面白いものはたくさんあったと思うよ、だってこの、『範子と文子の三十分一本勝負』って、面白いよね」
    「そう……」
     範子は、いわくありげな表情を浮かべた。眠くてどこかはれぼったい目が、表情をどこか深みのあるものと錯覚させる。文子は唾を飲み込んだ。次に範ちゃんがなんていうか……。
    「こう、毎日毎日ブログに顔を出していると、本当に自分が出ているものが面白いのかについて、自信がなくなってくるのよね」
    「範ちゃん、もっと自分に自信を持とうよ。世の中、元気に、ファイトで、とにかく生命力があったほうが最後には勝つものと相場が決まっているよ!」
     力こぶを作ってみる文子だった。もっとも、普通の女子高生である文子には、力こぶを作ってみたところであまり力こぶに見えない。
    「文子……」
    「なあに、範ちゃん?」
    「三時間使って、四百字詰めで二十三枚なんていう、『ナイトメアハンター桐野』を書いたときの地を這うようなスピードとは比べ物にならないような早書きをして、それでそっちの落語のほうが『ナイトメアハンター桐野』よりも面白かったとしたら、いったい作者はどうすればいいの?」
    「範ちゃん、それは考えすぎだよ。だって、『範子と文子の三十分一本勝負』は、三十分使ってコンスタントに四百字詰め五~六枚だよ! これで三時間ぶっ通しで書いたら四百字詰め三十~三十六枚だよ! 大丈夫だって! 『範子と文子の三十分一本勝負』よりは考えて書いているって!」
    「そう……かしら?」
    「そうだよ! だから範ちゃんも元気を出してよ! わたしたちがこうして粗製乱造気味に書かれても清く正しくたくましく生きているんだから、筆の勢いだけに任せて書いた落語が面白かったとしても、それはひとつの可能性としてじゅうぶんありだよ!」
    「そうね、文子」
     範子は疲れた顔でうなずいた。
    「わたし、がんばって、タフに生きてみるわ」
    「そうだよ範ちゃん!」
    「でも……」
    「でも?」
    「ほんとに書いたものがつまらなかったら、作者は、どうやって詫びを入れたらいいのかしら……」
     いわんでくれ範子。わたしは非常に不安なんだから。
     腹を切ろうにも、腹を切ると痛いからなあ……。
     うむう……。
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    ~ Comment ~

    Re: ひゃくさん

    更新がつらくなってくると楽屋落ちに逃げる(笑)。

    わたしの小説はすべて「積極的逃避」(by川島雄三)ですからねえ(そうなのか?(笑))

    NoTitle

    > 眠気を感じているときには何の役にも立たないものなのだ。

    よくおわかりで(笑)

    というか、今回は、またすごいグタグタぶりでしたね(爆)

    Re: ネミエルさん

    いやーネミエルさんので落語を作ろうと思っても、ベルカ帝国謎だらけじゃないですか(^^;)

    知らず知らずのうちに設定の「そこだけは触れちゃいかん」ところに抵触して書き直し、ということになったら書いているほうがたいへんなので……(^^;)

    書くにしてももうちょっと「全貌」が見えてからにしたいと思います。

    ごめん。

    NoTitle

    誰の落語を書いたんですか?
    ぼくのだったらぜんぜんかまわないですよ!←
    むしろ書いてほしいぐらいですよ!←

    覚え書き

    結局、面白かったけれど世界観に抵触するところがあって、UPは難しいだろうということになりました。

    二次創作は難しい。
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