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    「範子と文子の驚異の高校生活(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)」
    範子と文子の三十分一本勝負(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)

    範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・47

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    「文子」
     範子は鋭い目つきでいった。
    「どっちが本物の文子なの?」
     それに対し、ふたりの文子は、まったく同じタイミングで、声を揃えていった。
    「それをいうなら、範ちゃんこそどっちが本物? まったくそっくりで、見分けがつかないよ」
     ふたりの範子も、そろって顔を見合わせ、はあ、と大きくため息をついた。
     いつもの紅恵高校の放課後だが、いつもと違って、教室にいるのは四人。文子がふたり、そして範子もふたり。
    「とにかく」
     自分の席に腰掛けている範子が、断固とした口調でいった。
    「わたしは自分が本物の宇奈月範子であると断言するわ。だって、わたしが座っている席は、わたしの席よ」
    「それをいうなら」
     隣の席に便宜上腰を下ろしている範子も答えた。
    「あなたこそわたしがトイレで手を洗っているうちに、先にわたしの席に腰を下ろしていたんじゃない。あなた、トイレで手を洗わないの? そうでしょそうなんでしょ。やーいやーい不潔女」
    「やめてよ範ちゃん、範ちゃんが範ちゃんにそんなことをいうの。でも範ちゃんいいそうだけど」
     文子が口をそろえていった。その後で顔を見合わせる。
    「あなた、ほんとにわたしなの? あなたがわたしだったら、わたしは誰?」
    「ああっややこしい! うっとうしいから、しゃべるのはひとりにしてくれない?」
     自分の席に座った範子が、バンと音を立てて机を叩いた。
    「でも、ふたりのわたしのうち、わたしと認めてもらえなかったほうは、どうなるの?」
    「わたしは、前に漫画で読んだことがあるわ」
     横の席に座った範子がぼそりといった。
    「わたしもある。認めてもらえなかったほうは、人権が停止されて、『人間狩り』の標的にされてしまうのよね」
    「そ、そんなの嫌だよ範ちゃん! たとえ自分の偽物だったとしても、自分と同じ顔と心を持った人間が、狩りの標的になるなんて、考えたくないよっ!」
     二人の文子は、異口同音にそういって立ち上がった。
    「落ち着いてよ文子……たち。少なくとも、わたしたちはまだふたりずつしかいないから、まだ大丈夫、なんとかなるわ」
     範子たちは、ふたりの文子をじっと見た。
     ……あわよくば、余った片一方の文子を愛人にして家でうふふふ。
     範子は危険で非人道的な考えに陥った自分の頭をぶんぶんと振り、その妄想を追い払った。
    「どうしよう?」
     不安そうな文子たちの声に、自分の席についているほうの範子はすっくと立ち上がった。
    「場所を変えましょう。こんなところにいつまでも長居していて、生活指導の先生に見つかったりでもしたらたいへんよ」
    「同意するわ。人に見られたら、それこそ人権停止ものですからね」
     もうひとりの範子も立ち上がった。
    「でも、どこへ?」
    「わたしの家がいいわね。だだっ広くて隠れる余地はいっぱいあるから、なんとかなるかもしれないわ」
     範子の発言に、文子たちは厳しい表情でうなずいた。

    「……まったく同一の地球人類に変装して接触したところ、最初は非友好的であったが、その後すぐに打ち解けて、『麻雀』なる原始的な遊戯をともに行なうようになった。これを見ても、地球人類のもつ柔軟性と平和愛好性は特筆すべきであって……」
    「範ちゃん、レポートできた?」
    「あと少し。これならば、近い将来、わたしたちのポポイラ星との外交関係が樹立できるかもしれないわね」
    「そうなったらいいね、範ちゃん! でも、あのふたり、ポポイラ語ではなんて名前なの?」
    「……範子、と、文子、らしいわ」
    「……これもなにかの縁かもね!」
    「そうかもね」

    『……しかし、これは遠い遠い未来の物語なのです。なぜって、今の人類は、そこまで他人を信頼していませんから……』
     ウルトラセブンは深い。
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    ~ Comment ~

    Re: ひゃくさん

    「光の国」と「M78星雲」は本当に同じものだったのだろうか、とウルトラシリーズ見るたびふと疑問がわくけれど、触れないようにするのがファンというもの(笑)

    NoTitle

    > といっておけばたいていのことはそんなもんだで通るそうですな(そうか?(^^;))

    ま、世の中そんなもん。
    M78星雲だって、そんなもん(笑)

    Re: ひゃくさん

    ウルトラセブンは……愛だっ!

    といっておけばたいていのことはそんなもんだで通るそうですな(そうか?(^^;))

    NoTitle

    > ウルトラセブンは深い。

    どうなんですかねー。
    確かに、大人になってみると、「深い」と思うし。
    また、実際「深み」を意図して作られた話も多いと思うですけどー。

    でも、ウルトラセブンって。
    やっぱり、悪い宇宙人が侵略してきて。
    それを、ウルトラ警備隊が何とか防ごうとするんだけど、でもやられちゃって。
    あわやという時、ウルトラセブンが現れて。
    ちょっと苦戦しちゃったりもするんだけど、でも、最後はアイスラッガーで真っ二つ!
    見てる方は、スッキリ。
    っていうのが、基本の基本であり、だからこそいまだに語り継がれているんだと思うんですよねー。

    もちろん、そこにテーマを持ち込むのはいいと思うし。
    それが、考えちゃうようなテーマだっていいと思うんです。
    でも、それこそがウルトラセブンなんだっていうのは、どこかでボタンと掛け間違えちゃってるんじゃないかって気がするんですよねー。

    いや。それは私自身よくわからないからこそ書いてるわけで、気を悪くしないでほしいんですけどー。

    でも、昔のそれらって、つくる側に、面白がらせてやる!っていうのと、スゴイのつくってやる!という、他者目線と自分目線な部分があったように思うんですよ。
    でも、最近のそれらって、自分目線しかないっていうか。
    自分目線のそれこそがそれなんだって思い込んじゃってるような気がするっていうのかなー。 ←ぐだぐだ(笑) 

    Re: トゥデイさん

    ウルトラセブン第8話「狙われた街」ラストシーンのナレーションです。
    夕陽に浮かぶメトロン星人の美しい姿といい、そんなやつがなぜかボロアパートでちゃぶ台をはさんで長広舌を振るう姿といい、大人になってはじめてわかるラストシーンのナレーションの皮肉さといい、まさに特撮史上におけるユニークな作品のひとつでしょう。
    ちなみにこれを撮った実相寺監督は「ちゃぶ台」の件でしばらく監督を干されていたそうであります。

    ファイトしか知らないなんてもったいない。「ウルトラマン」と「ウルトラセブン」は、基礎教養のひとつですよ。ぜひともビデオ屋かなにかでごらんになられることをおすすめしておきます。

    Re: ネミエルさん

    だからみんな家でPCやることにばっかり向かってしまうでしょうって(笑)。

    学校でつらい授業やテストを受けるよりはなあ(笑)。

    Re: ぴゆうさん

    自分が二人いても、どっちも怠けて遊ぶので役に立たない、というマンガを読んだことがあります。

    世の中そんなものです(笑)。

    ポポイラ星久しぶりですね。三回目でしたっけ。
    元ネタはウルトラセブンの何ですか。私ウルトラシリーズはファイトしか知らないので。基本東映育ち。
    購読してる特撮雑誌でウルトラマンは「父性」だと語ってましたね。
    「君達、覚えていてくれ」とメッセージを語りかけるような感じだったと。最近の特撮だとケータイ捜査官くらいですよそんなの。
    ちなみにウルトラマンが父親なら仮面ライダーは近所の不良なお兄ちゃんらしいです。

    NoTitle

    自分が二人いたら・・・
    そうだなぁ

    学校組みと家組みで分かれるかな!

    NoTitle

    自分が2人いたら・・・
    こき使ってやる!
    もちろん、主導権は死にものぐるいで死守する。
    姑息だろうが、汚い手だろうがあらゆる方法を考え、使いまくる。
    えっ?相手も同じことをする。
    ・・・・
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