「範子と文子の驚異の高校生活(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)」
範子と文子の三十分一本勝負(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)
範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・71
「醜態だわ」
「選挙が?」
いつもの紅恵高校の放課後。しかめ面で吐き捨てた範子に、文子は尋ねた。範子は首を振った。
「選挙というものも負けた側は醜態のかたまりみたいなものだけど、そっちとは違うわ。ほら、わたしたちがいるこのブログのことよ。もう、なんていうか、作者が二日も続けて眠気に負けているじゃないの。醜態以外の何物でもないわ」
「たしかにそうだけれど、だからといって、睡眠は、人間にとって重要な生理現象だよ。眠れるんだったら眠れたほうがはるかにましだよ。世の中には、どうしても眠れない不眠症の人だっているんだから」
「そうね……眠れないのもつらいわよね」
「わたしが聞いた話では、くたくたに疲れて、なにもする気が起きなくて、寝床に入ったのはいいものの、ちっとも眠れなくて、朝まで砂嵐の吹き荒れるテレビ画面をぼーっと見ていた、っていうのがあるよ」
「それはつらいわね……」
「でもその話の人、明け方から昼過ぎまで眠っていたそうだから」
「昼夜逆転というやつ? それはそれでつらいんじゃないの? 体調は完全に狂うしね。学校なんかに通っていたら、完全に留年か退学モードね」
「だよねえ。だから、範ちゃんも、作者さんに、眠いときは眠ってもらえれば……」
「甘いわ」
「へ?」
範子は断固とした口調でいった。
「いいこと? わたしたち二人は、作者に命を預けているのよ。いわばわたしたちは、嵐の海に手漕ぎの船で漕ぎ出した漂流者なのよ。である以上、作者にはしっかりしてもらわないと、この小説も、あっというまに転覆沈没してしまうことは火を見るよりも明らかだわ」
「転覆だの脱線だのは前々からやっているような気がするけど……」
「なにかいった?」
「ううん。なんにも」
文子は首をぷるぷると振った。
範子はそれを見てひとつうなずくと続けた。
「作者には、毎日原稿を上げるまでは起きていてもらわなければならないのよ。ブラックブラックガムをかじっても、島本和彦先生おすすめの『エスタロンモカ』を飲んでも、なにをしてもいいから、原稿を上げてもらわないと。あっ、もちろん、覚醒剤はだめよ。あんなのを使われると、わたしたちまで廃人になっちゃうから」
「エスタロンモカって、まだ売ってるの?」
「知らないわ。売ってなかったとしても、代用品が出ているでしょう。需要はいくらでもあるんだから」
「アマチュアの零細ブログにそんな本気のエネルギーをつぎ込まれてもたいへんだよ、範ちゃん」
「全てはわたしたちがよりよく生きるための努力よ。それをなおざりにしたらほんとにダメになるから」
「うーん、とはいうものの、そういうガムとか栄養ドリンクって効くのかしら」
「大丈夫よ。わたしの会社が、革命的な素晴らしい栄養ドリンクを発明したから」
範子はそういって、机の上にドリンクの瓶を一本取り出した。
「なんだ、延々と語っていたのは自社製品の宣伝だったのか。……で、これ、効くの?」
「効くわよ。わたし、学校来る前に一本飲んできたんだから。おかげで授業中も目がぱっちりよ」
「成分はなんなの?」
「成分はね。特別的に調合されたケミカルXとチオチモリンが入っていてこれが交感神経を木星がグランドクロスで電波が電波が」
「の、範ちゃん! どうしたの?」
「誰かがわたしを刺しにキテルです。豚が空を飛んでるわ。地球はこれからダークフォールするのよ。地球が地球が殺人ペンギンに。誰かの声がわたしをしゃべらせる。わたしの考えが全部文子にばれてしまう。真空管が爆発するキキキキキキキ」
「誰か来てー! 範ちゃんが、範ちゃんが、壊れちゃったよう!」
内容のほぼ全部はフィクションです(笑)。
次回には影響を及ぼしません、きっと……(笑)。
「選挙が?」
いつもの紅恵高校の放課後。しかめ面で吐き捨てた範子に、文子は尋ねた。範子は首を振った。
「選挙というものも負けた側は醜態のかたまりみたいなものだけど、そっちとは違うわ。ほら、わたしたちがいるこのブログのことよ。もう、なんていうか、作者が二日も続けて眠気に負けているじゃないの。醜態以外の何物でもないわ」
「たしかにそうだけれど、だからといって、睡眠は、人間にとって重要な生理現象だよ。眠れるんだったら眠れたほうがはるかにましだよ。世の中には、どうしても眠れない不眠症の人だっているんだから」
「そうね……眠れないのもつらいわよね」
「わたしが聞いた話では、くたくたに疲れて、なにもする気が起きなくて、寝床に入ったのはいいものの、ちっとも眠れなくて、朝まで砂嵐の吹き荒れるテレビ画面をぼーっと見ていた、っていうのがあるよ」
「それはつらいわね……」
「でもその話の人、明け方から昼過ぎまで眠っていたそうだから」
「昼夜逆転というやつ? それはそれでつらいんじゃないの? 体調は完全に狂うしね。学校なんかに通っていたら、完全に留年か退学モードね」
「だよねえ。だから、範ちゃんも、作者さんに、眠いときは眠ってもらえれば……」
「甘いわ」
「へ?」
範子は断固とした口調でいった。
「いいこと? わたしたち二人は、作者に命を預けているのよ。いわばわたしたちは、嵐の海に手漕ぎの船で漕ぎ出した漂流者なのよ。である以上、作者にはしっかりしてもらわないと、この小説も、あっというまに転覆沈没してしまうことは火を見るよりも明らかだわ」
「転覆だの脱線だのは前々からやっているような気がするけど……」
「なにかいった?」
「ううん。なんにも」
文子は首をぷるぷると振った。
範子はそれを見てひとつうなずくと続けた。
「作者には、毎日原稿を上げるまでは起きていてもらわなければならないのよ。ブラックブラックガムをかじっても、島本和彦先生おすすめの『エスタロンモカ』を飲んでも、なにをしてもいいから、原稿を上げてもらわないと。あっ、もちろん、覚醒剤はだめよ。あんなのを使われると、わたしたちまで廃人になっちゃうから」
「エスタロンモカって、まだ売ってるの?」
「知らないわ。売ってなかったとしても、代用品が出ているでしょう。需要はいくらでもあるんだから」
「アマチュアの零細ブログにそんな本気のエネルギーをつぎ込まれてもたいへんだよ、範ちゃん」
「全てはわたしたちがよりよく生きるための努力よ。それをなおざりにしたらほんとにダメになるから」
「うーん、とはいうものの、そういうガムとか栄養ドリンクって効くのかしら」
「大丈夫よ。わたしの会社が、革命的な素晴らしい栄養ドリンクを発明したから」
範子はそういって、机の上にドリンクの瓶を一本取り出した。
「なんだ、延々と語っていたのは自社製品の宣伝だったのか。……で、これ、効くの?」
「効くわよ。わたし、学校来る前に一本飲んできたんだから。おかげで授業中も目がぱっちりよ」
「成分はなんなの?」
「成分はね。特別的に調合されたケミカルXとチオチモリンが入っていてこれが交感神経を木星がグランドクロスで電波が電波が」
「の、範ちゃん! どうしたの?」
「誰かがわたしを刺しにキテルです。豚が空を飛んでるわ。地球はこれからダークフォールするのよ。地球が地球が殺人ペンギンに。誰かの声がわたしをしゃべらせる。わたしの考えが全部文子にばれてしまう。真空管が爆発するキキキキキキキ」
「誰か来てー! 範ちゃんが、範ちゃんが、壊れちゃったよう!」
内容のほぼ全部はフィクションです(笑)。
次回には影響を及ぼしません、きっと……(笑)。
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~ Comment ~
Re: トゥデイさん
居眠りしているときの頭については考えたくもありません。
だって、はっと気がつくと「範子文子」の文章が意味不明になっているんですもん。
こないだの「高野長英」だって、なんであんなことを書いたのかいまだに見当すらつきません。面白いので残してしまいましたが。
無意識が前面に出てくるのは、アイデアを考えるときだけでいいです。書き始めてからは、理性一本ですよ、小説って。暴走させるけど理性は理性で。
え? ……理性で書いているように見えない?(汗)
だって、はっと気がつくと「範子文子」の文章が意味不明になっているんですもん。
こないだの「高野長英」だって、なんであんなことを書いたのかいまだに見当すらつきません。面白いので残してしまいましたが。
無意識が前面に出てくるのは、アイデアを考えるときだけでいいです。書き始めてからは、理性一本ですよ、小説って。暴走させるけど理性は理性で。
え? ……理性で書いているように見えない?(汗)
NoTitle
エスタロンモカってなんか空母っぽいb
航空母艦エスタロンモカ
タイコンテロガと響きがにてるからかな?
航空母艦エスタロンモカ
タイコンテロガと響きがにてるからかな?
- #1599 ねみ(What!?)
- URL
- 2010.07/15 00:56
- ▲EntryTop
エスタロンモカ、私はさくらももこのエッセイで知りました。作家からの需要だけでもかなりありそうだ。
居眠りしてる時の頭の中って本当に不思議。下手すると自分が寝てる事にすら気づかない。
そして聞いていたはずの記憶が起きた瞬間消滅する。不思議だ。
あと何回か出てきたケミカルXって某アメコミのあれっすか。
居眠りしてる時の頭の中って本当に不思議。下手すると自分が寝てる事にすら気づかない。
そして聞いていたはずの記憶が起きた瞬間消滅する。不思議だ。
あと何回か出てきたケミカルXって某アメコミのあれっすか。
- #1598 トゥデイ
- URL
- 2010.07/15 00:39
- ▲EntryTop
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Re: ネミエルさん
今はイージス巡洋艦。とはいえこれもまた古いのですが。
ミサイルに対してはムチャクチャな防御力を持っていた艦でしたなあ。
前に読んだアメリカ製ゲームの解説では、この艦の弱点は、一隻10億ドルすることだけだ、って書いてあったであります。
イージスシステムなんて、まさに現代の科学でできるところまでやったシエラちゃんみたいなもんですな。逆にいえば船にシエラちゃんをひとり乗せればイージス巡洋艦になる、みたいなもので……。