「範子と文子の驚異の高校生活(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)」
範子と文子の三十分一本勝負(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)
範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・75
いつもの平和な紅恵高校。
「ついにここまで来たわね」
範子はいった。
「そうだね、範ちゃん、四分の三、七十五パーセントだね」
文子もまじめな顔で答えた。
「ここまで来たら、後は惰性でなんとかなりそうだね、範ちゃん」
「惰性とかいわないで」
範子は文子の失言を制した。
「……ごめん、範ちゃん」
文子は頭を下げた。
「でも、なにを話そう? たいていの話の種は、もうなにかの形で全部しゃべっちゃったよ」
「そういわれればそうね……」
「眠くなってつい書いていて意識が飛ぶっていうネタも、もう五回くらいやってるし」
「うーん」
範子は頭を抱えた。
「確かに、ネタがないわね」
考えていた範子は、急に、キッとした顔で目を上げた。
「これはこの『範子と文子の三十分一本勝負』に迫る危機よ」
「だよねえ」
文子はうなずいた。
「だから、われわれは防衛作戦を取らなくてはならないわ」
「うんうん」
「予想される『ネタ切れ』の位置を割り出して、文子。早く」
「え……い、位置?」
「大至急割り出して。今どこらへん? 太平洋上?」
「た、太平洋?」
範子はいきなり机の上に地図を広げた。
「太平洋上ね。そうすると、ネタ切れの進路は、予想だとこうだから……。まずいわ。このままでは」
「え、えっ?」
文子は地図にメモを取る範子の手と、真剣な面持ちのその顔との間に視線を激しく往復させた。
「このままでは、一両日中にも、日本に上陸するわ」
「上陸って……あの、わたしたちが問題にしていたのは、あくまでも『ネタ切れ』であって、そんな台風みたいなものじゃ……」
「台風ですって?」
「だからその」
「台風なんかと比べても、『ネタ切れ』の規模は計れないわ。あくまでも、奴は、危険度的にはマックスなんだから」
「危険度って……」
「文子」
範子は真剣なまなざしで文子を見た。
「ネタ切れは、どんな攻撃力を持っているの?」
「こ、攻撃力?」
文子は口をぱくぱくさせたが、やがて気を取り直すとまじめに考え出した。
「えーっと、ネタがなくなって小説が書けなくなるんだから……」
「世界的破滅能力を持っているのね」
「世界って、破滅って。そんな」
「防御兵器は、どうなってるの? ロケットランチャー部隊と、戦車部隊、それから原子熱線砲、戦闘機隊も必要ね。航空自衛隊と、陸上自衛隊にも応援を頼まないと。海上自衛隊の能力だけでは、ネタ切れに歯が立たないわ」
「もしもーし」
「高圧電流を流して、ネタ切れに深刻なダメージを与える作戦も取らないと」
しばらく範子は黙っていたが、急に、
「文子」
「な、なあに範ちゃん」
「ネタ切れは強い」
「そうだね」
「だから、なんとしてでも手に入れてほしいものがあるの。調達してきて」
「なにを?」
文子は頭に痛みを覚えた。
「オキシジェン・デストロイヤーよ」
「おきしじ……そんなの、あるわけないじゃない!」
「しかし、われわれの味方は芹沢博士とオキシジェン・デストロイヤー以外にはない」
「もう好きにして」
文子は考えることを諦めた。まだまだ事件は進むのだが。
「陸自には攻撃を頼んでおいたが、それだけでは、むずかしいだろう」
「はあ」
「昔からいうではないか。『怪獣は発明の母である』と」
「ネタ切れは怪獣じゃないっ!」
文子は範子に突っ込んだが、しかしそれは……。
「それがオチ? それがオチなの? 大丈夫かしら作者……」
「たぶん」
二人は頭を抱えた。
「ついにここまで来たわね」
範子はいった。
「そうだね、範ちゃん、四分の三、七十五パーセントだね」
文子もまじめな顔で答えた。
「ここまで来たら、後は惰性でなんとかなりそうだね、範ちゃん」
「惰性とかいわないで」
範子は文子の失言を制した。
「……ごめん、範ちゃん」
文子は頭を下げた。
「でも、なにを話そう? たいていの話の種は、もうなにかの形で全部しゃべっちゃったよ」
「そういわれればそうね……」
「眠くなってつい書いていて意識が飛ぶっていうネタも、もう五回くらいやってるし」
「うーん」
範子は頭を抱えた。
「確かに、ネタがないわね」
考えていた範子は、急に、キッとした顔で目を上げた。
「これはこの『範子と文子の三十分一本勝負』に迫る危機よ」
「だよねえ」
文子はうなずいた。
「だから、われわれは防衛作戦を取らなくてはならないわ」
「うんうん」
「予想される『ネタ切れ』の位置を割り出して、文子。早く」
「え……い、位置?」
「大至急割り出して。今どこらへん? 太平洋上?」
「た、太平洋?」
範子はいきなり机の上に地図を広げた。
「太平洋上ね。そうすると、ネタ切れの進路は、予想だとこうだから……。まずいわ。このままでは」
「え、えっ?」
文子は地図にメモを取る範子の手と、真剣な面持ちのその顔との間に視線を激しく往復させた。
「このままでは、一両日中にも、日本に上陸するわ」
「上陸って……あの、わたしたちが問題にしていたのは、あくまでも『ネタ切れ』であって、そんな台風みたいなものじゃ……」
「台風ですって?」
「だからその」
「台風なんかと比べても、『ネタ切れ』の規模は計れないわ。あくまでも、奴は、危険度的にはマックスなんだから」
「危険度って……」
「文子」
範子は真剣なまなざしで文子を見た。
「ネタ切れは、どんな攻撃力を持っているの?」
「こ、攻撃力?」
文子は口をぱくぱくさせたが、やがて気を取り直すとまじめに考え出した。
「えーっと、ネタがなくなって小説が書けなくなるんだから……」
「世界的破滅能力を持っているのね」
「世界って、破滅って。そんな」
「防御兵器は、どうなってるの? ロケットランチャー部隊と、戦車部隊、それから原子熱線砲、戦闘機隊も必要ね。航空自衛隊と、陸上自衛隊にも応援を頼まないと。海上自衛隊の能力だけでは、ネタ切れに歯が立たないわ」
「もしもーし」
「高圧電流を流して、ネタ切れに深刻なダメージを与える作戦も取らないと」
しばらく範子は黙っていたが、急に、
「文子」
「な、なあに範ちゃん」
「ネタ切れは強い」
「そうだね」
「だから、なんとしてでも手に入れてほしいものがあるの。調達してきて」
「なにを?」
文子は頭に痛みを覚えた。
「オキシジェン・デストロイヤーよ」
「おきしじ……そんなの、あるわけないじゃない!」
「しかし、われわれの味方は芹沢博士とオキシジェン・デストロイヤー以外にはない」
「もう好きにして」
文子は考えることを諦めた。まだまだ事件は進むのだが。
「陸自には攻撃を頼んでおいたが、それだけでは、むずかしいだろう」
「はあ」
「昔からいうではないか。『怪獣は発明の母である』と」
「ネタ切れは怪獣じゃないっ!」
文子は範子に突っ込んだが、しかしそれは……。
「それがオチ? それがオチなの? 大丈夫かしら作者……」
「たぶん」
二人は頭を抱えた。
- 関連記事
-
- 範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・76
- 範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・75
- 範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・74
スポンサーサイト
もくじ
風渡涼一退魔行

もくじ
はじめにお読みください

もくじ
ゲーマー!(長編小説・連載中)

もくじ
5 死霊術師の瞳(連載中)

もくじ
鋼鉄少女伝説

もくじ
ホームズ・パロディ

もくじ
ミステリ・パロディ

もくじ
昔話シリーズ(掌編)

もくじ
カミラ&ヒース緊急治療院

もくじ
未分類

もくじ
リンク先紹介

もくじ
いただきもの

もくじ
ささげもの

もくじ
その他いろいろ

もくじ
自炊日記(ノンフィクション)

もくじ
SF狂歌

もくじ
ウォーゲーム歴史秘話

もくじ
ノイズ(連作ショートショート)

もくじ
不快(壊れた文章)

もくじ
映画の感想

もくじ
旅路より(掌編シリーズ)

もくじ
エンペドクレスかく語りき

もくじ
家(

もくじ
家(長編ホラー小説・不定期連載)

もくじ
懇願

もくじ
私家版 悪魔の手帖

もくじ
紅恵美と語るおすすめの本

もくじ
TRPG奮戦記

もくじ
焼肉屋ジョニィ

もくじ
睡眠時無呼吸日記

もくじ
ご意見など

もくじ
おすすめ小説

もくじ
X氏の日常

もくじ
読書日記

~ Trackback ~
卜ラックバックURL
⇒
⇒この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
~ Comment ~