「範子と文子の驚異の高校生活(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)」
範子と文子の三十分一本勝負(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)
範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・83
「困ったわ」
「なにが困ったの範ちゃん?」
紅恵高校、夏期講習後の教室。範子は深刻な顔をしていた。
「もうネタがないのよ」
「それは前から何度となくいってることだよ、範ちゃん。前からずーっと、ネタがないネタがないとかいいながら、これまで八十回以上やってきたよね。だからこれからも大丈夫だよ」
「甘いわ。それは希望的観測というやつよ」
範子はびしっといった。
「このままでは、もしかしたら、あまりのネタのなさと読者数の少なさから、このショートショートは気がついたらアダルトものになってしまっているかもしれないわ」
範子は頭を抱えた。
「もしもそんなことになったら、相互リンクしていただいているサイトの皆様のうち、少なくとも半数から絶交されて、わたしたちは目標の百話までいかずに路頭に迷うことになるのよ。それだけは避けなくちゃ」
「うーん……」
「だからとにかく、今はだべって時間を稼ぎ、なにか天啓が降りてくるのを待つの。いいこと?」
「うん」
「よろしい」
範子は腰に手を当て、うなずいた。
しかし、天啓が降りてくる気配は一向になかった。
「文子、なにかしゃべってくれない」
「なにについてしゃべればいいの、範ちゃん?」
「もうなんでもいいから! 相撲だろうと熱中症だろうとなんとかサンシャインだろうとなんでもいいから!」
「範ちゃん、あんな番組見てるの……いい年して」
「いい年だろうと面白いものは面白いのよ。……ほら、会話が回転してきた」
「そうかなあ? なんか、ちっとも盛り上がらないお見合いみたいだよ、これって」
「そうそう。破談目指して一直線みたいな」
「破談か……」
文子は、そういった直後、はっと思いついたかのように範子に向かった。
「そういえば、範ちゃんって、財閥の令嬢だよね、たしか」
「そ、そうだけど?」
文子の目が妙な色で光った。
「じゃ、これまでにも、お見合いとかしたことあるんじゃない?」
「そ……それは」
「あるんだ」
文子は興味津々、とでもいいたげに範子の目を見た。
その姿は、まるで獲物に向かう肉食獣である。
「どんな人だったの?」
「どうって……」
範子は懸命に思い出そうとしていた。
「一回や二回じゃないから……」
「一回や二回じゃない!」
文子の目からはなにか光線でも出ているかのようであった。
「それは聞き捨てなりませんね範子さん」
「テレビの芸能リポーターみたいなことをいうのはよさない、文子?」
「よさない。こんな面白い話ないもんね。大丈夫、駒子ちゃんたちには黙っているから」
範子は文子の顔をじっと見た。
かぶりを振った。
「ウソよウソだわ絶対ウソだわ」
「ウソじゃないよ、範ちゃん。第一回目は、いつ?」
「小四……」
「小四!」
文子の顔に驚きの色が。
「ちょっとそれ、どこのロリコンのペドが相手なの?」
「そんなわけないでしょう。相手はわたしより年下の、小学三年生だったわ」
「ああ、そうだね、普通そうだよね。で、そのお話は?」
「破談。とにかく、甘やかされたガキで、デブで、出された菓子に文句をつけて、代わりにポテトチップスを大袋で三つも食べるようなやつだったわ。あれで、見合いとか、いいなずけとかに対し、深刻な疑念を抱くようになったわね」
「はあ」
「あれ以来よ。寄ってくる男に嫌悪感しか抱かないようになったのは。まったく、うちの親も、最初の人選には気をつけてほしかったわね」
「てことは……」
「見合い話はこれまでことごとく破談。でも、それがよかったのかもね」
「え?」
「だって……いや、なんでもないわ」
範子は顔を赤らめた。
これからさらに文子によって追及は続くのであるが、見合いだけに後は若い二人に任せておきましょう。
……ってひどいオチだなまったく。
「なにが困ったの範ちゃん?」
紅恵高校、夏期講習後の教室。範子は深刻な顔をしていた。
「もうネタがないのよ」
「それは前から何度となくいってることだよ、範ちゃん。前からずーっと、ネタがないネタがないとかいいながら、これまで八十回以上やってきたよね。だからこれからも大丈夫だよ」
「甘いわ。それは希望的観測というやつよ」
範子はびしっといった。
「このままでは、もしかしたら、あまりのネタのなさと読者数の少なさから、このショートショートは気がついたらアダルトものになってしまっているかもしれないわ」
範子は頭を抱えた。
「もしもそんなことになったら、相互リンクしていただいているサイトの皆様のうち、少なくとも半数から絶交されて、わたしたちは目標の百話までいかずに路頭に迷うことになるのよ。それだけは避けなくちゃ」
「うーん……」
「だからとにかく、今はだべって時間を稼ぎ、なにか天啓が降りてくるのを待つの。いいこと?」
「うん」
「よろしい」
範子は腰に手を当て、うなずいた。
しかし、天啓が降りてくる気配は一向になかった。
「文子、なにかしゃべってくれない」
「なにについてしゃべればいいの、範ちゃん?」
「もうなんでもいいから! 相撲だろうと熱中症だろうとなんとかサンシャインだろうとなんでもいいから!」
「範ちゃん、あんな番組見てるの……いい年して」
「いい年だろうと面白いものは面白いのよ。……ほら、会話が回転してきた」
「そうかなあ? なんか、ちっとも盛り上がらないお見合いみたいだよ、これって」
「そうそう。破談目指して一直線みたいな」
「破談か……」
文子は、そういった直後、はっと思いついたかのように範子に向かった。
「そういえば、範ちゃんって、財閥の令嬢だよね、たしか」
「そ、そうだけど?」
文子の目が妙な色で光った。
「じゃ、これまでにも、お見合いとかしたことあるんじゃない?」
「そ……それは」
「あるんだ」
文子は興味津々、とでもいいたげに範子の目を見た。
その姿は、まるで獲物に向かう肉食獣である。
「どんな人だったの?」
「どうって……」
範子は懸命に思い出そうとしていた。
「一回や二回じゃないから……」
「一回や二回じゃない!」
文子の目からはなにか光線でも出ているかのようであった。
「それは聞き捨てなりませんね範子さん」
「テレビの芸能リポーターみたいなことをいうのはよさない、文子?」
「よさない。こんな面白い話ないもんね。大丈夫、駒子ちゃんたちには黙っているから」
範子は文子の顔をじっと見た。
かぶりを振った。
「ウソよウソだわ絶対ウソだわ」
「ウソじゃないよ、範ちゃん。第一回目は、いつ?」
「小四……」
「小四!」
文子の顔に驚きの色が。
「ちょっとそれ、どこのロリコンのペドが相手なの?」
「そんなわけないでしょう。相手はわたしより年下の、小学三年生だったわ」
「ああ、そうだね、普通そうだよね。で、そのお話は?」
「破談。とにかく、甘やかされたガキで、デブで、出された菓子に文句をつけて、代わりにポテトチップスを大袋で三つも食べるようなやつだったわ。あれで、見合いとか、いいなずけとかに対し、深刻な疑念を抱くようになったわね」
「はあ」
「あれ以来よ。寄ってくる男に嫌悪感しか抱かないようになったのは。まったく、うちの親も、最初の人選には気をつけてほしかったわね」
「てことは……」
「見合い話はこれまでことごとく破談。でも、それがよかったのかもね」
「え?」
「だって……いや、なんでもないわ」
範子は顔を赤らめた。
これからさらに文子によって追及は続くのであるが、見合いだけに後は若い二人に任せておきましょう。
……ってひどいオチだなまったく。
- 関連記事
-
- 範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・84
- 範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・83
- 範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・82
スポンサーサイト
もくじ
風渡涼一退魔行

もくじ
はじめにお読みください

もくじ
ゲーマー!(長編小説・連載中)

もくじ
5 死霊術師の瞳(連載中)

もくじ
鋼鉄少女伝説

もくじ
ホームズ・パロディ

もくじ
ミステリ・パロディ

もくじ
昔話シリーズ(掌編)

もくじ
カミラ&ヒース緊急治療院

もくじ
未分類

もくじ
リンク先紹介

もくじ
いただきもの

もくじ
ささげもの

もくじ
その他いろいろ

もくじ
自炊日記(ノンフィクション)

もくじ
SF狂歌

もくじ
ウォーゲーム歴史秘話

もくじ
ノイズ(連作ショートショート)

もくじ
不快(壊れた文章)

もくじ
映画の感想

もくじ
旅路より(掌編シリーズ)

もくじ
エンペドクレスかく語りき

もくじ
家(

もくじ
家(長編ホラー小説・不定期連載)

もくじ
懇願

もくじ
私家版 悪魔の手帖

もくじ
紅恵美と語るおすすめの本

もくじ
TRPG奮戦記

もくじ
焼肉屋ジョニィ

もくじ
睡眠時無呼吸日記

もくじ
ご意見など

もくじ
おすすめ小説

もくじ
X氏の日常

もくじ
読書日記

~ Comment ~
NoTitle
そういえば、今もいいなずけって、あるんでしょうかね。
なんだか悲しい響きもありますが、ちょっとエキゾチックで時代錯誤でいいですね。←勘違いしてるかな?
お見合いって言うのも、一度もやったことがないので、一度やってみたかったです。
いえ、やってみたいです(おい)
なんだか悲しい響きもありますが、ちょっとエキゾチックで時代錯誤でいいですね。←勘違いしてるかな?
お見合いって言うのも、一度もやったことがないので、一度やってみたかったです。
いえ、やってみたいです(おい)
Re: ネミエルさん
相手のガキも生意気でしたが、当の範子ちゃんのほうもけっこうきついことをいったのではないかと思います。
趣味が趣味ですからねえ。
とりあえず今はハミガキ粉のようにがんばります。
趣味が趣味ですからねえ。
とりあえず今はハミガキ粉のようにがんばります。
Re: トゥデイさん
あのふたりは、書いていると勝手にしゃべってくれるので、書くことに詰まったときにはありがたいです。
その前に、原稿も頭も真っ白な状態でPCに向かう、というのをなんとかすればいいだけかもしれませんが(笑)
百話終わったときには燃え尽きていたらやですが……。
その前に、原稿も頭も真っ白な状態でPCに向かう、というのをなんとかすればいいだけかもしれませんが(笑)
百話終わったときには燃え尽きていたらやですが……。
Re: ミズマ。さん
まあ時事ネタではありますが(爆)
あの番組、最近の子供番組の中で一番面白いので好きです(いい年して……(爆))
あの番組、最近の子供番組の中で一番面白いので好きです(いい年して……(爆))
NoTitle
いいじゃないですか
小4とかぶちのめしたいぐらいに生意気なときですよね。
よく弟泣かしてました。
トゥデイさんも言うとおりに良いキャラばかりじゃないですか。
僕もまともなキャラ作れないのに
ケチャップのごとくがんばってください。
小4とかぶちのめしたいぐらいに生意気なときですよね。
よく弟泣かしてました。
トゥデイさんも言うとおりに良いキャラばかりじゃないですか。
僕もまともなキャラ作れないのに
ケチャップのごとくがんばってください。
- #1677 ねみ(Why did you do?)
- URL
- 2010.07/26 23:08
- ▲EntryTop
良かったですね。うまいこと話が転がって。
やっぱ持つべきものはいいキャラクターだ。私まともにキャラクター作れないもん。
金持ちネタは今までも割と使ってましたよね。頑張ればもう少し絞り出せるんじゃないですか。
マヨネーズのごとく頑張って下さい。
やっぱ持つべきものはいいキャラクターだ。私まともにキャラクター作れないもん。
金持ちネタは今までも割と使ってましたよね。頑張ればもう少し絞り出せるんじゃないですか。
マヨネーズのごとく頑張って下さい。
- #1676 トゥデイ
- URL
- 2010.07/26 22:40
- ▲EntryTop
なんとかサンシャインはあれですか。
池袋でも、ガ○ダム(それはシャイニングだッ!)でもなく、
彼女ひとりだけいればみんなの心の花を守れるんじゃなかろーか、と私に疑念を抱かせた黄色い子ですか。
かわいいんだけど、ピンクとブルーの存在意義が……。
なんつって!
池袋でも、ガ○ダム(それはシャイニングだッ!)でもなく、
彼女ひとりだけいればみんなの心の花を守れるんじゃなかろーか、と私に疑念を抱かせた黄色い子ですか。
かわいいんだけど、ピンクとブルーの存在意義が……。
なんつって!
- #1675 ミズマ。
- URL
- 2010.07/26 21:08
- ▲EntryTop
~ Trackback ~
卜ラックバックURL
⇒
⇒この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
Re: limeさん
明治大正昭和初期に至るまで、ずっと大人たちの眉をひそめさせてきたこの言葉が、もう今に至ると(^^)
今では事態がさらに上をいっていて(^^)
limeさんならお見合いなんかやらなくたって、もてるのではありませんか?(ニヒヒ(^皿^))