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    「範子と文子の驚異の高校生活(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)」
    範子と文子の三十分一本勝負(ギャグ掌編小説シリーズ・完結)

    範子と文子の三十分一本勝負:FIGHT・89

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    「凶相じゃ」
     範子は地の底から響くような声で文子にいった。
    「どうしたの範ちゃん? またなにか悪い物でも食べたの?」
    「凶相じゃ……おぬしの顔に凶相が出ておる。行いをつつしんだほうが良いぞ……」
    「冗談だとしても、あまり面白くないよ、範ちゃん」
    「だってそうなんだもの」
     範子は手に広げた占いの分厚い本を読みながらそういった。
     二人で決めた、「今日の宿題タイム」はとりあえず終わったようである。
    「肌の色が妙に白く、顔がふつうより小さく見え、目元口元にどこか乾いた感覚を覚えた時は、たいへん危険です。生活には十分注意してくださいって、この本にきちんと書いてあるのよ」
    「そんな迷信、信じないよ、範ちゃん。占いなんていいかげんなもんだよ、どれも。武田信玄も、占いに一喜一憂する部下に教訓を垂れるため、飛んでいた吉兆を呼ぶ鳥を射落としたそうだよ」
    「そんなことしているから武田家は勝頼の代で滅亡したのよ。少なくとも、吉兆とかいうものについては、大事にした方がいいわね」
    「オカルトは嫌いだよ、範ちゃん」
    「そんなことより」
     範子は手にした携帯のボタンを押した。
    「文子を守るため、宇奈月財閥は総力を結集することにしました。まずは衛星兵器」
    「衛星兵器なんか使ったら地形まで変わっちゃうよ! やめてよ!」
     慌てる文子を尻目に、範子は携帯を操作し、窓の外を見た。
     なにも変わらない。
    「範ちゃん、あれって……」
    「ふふふ。文子も気がついたわね。これぞ宇奈月家究極兵器のひとつ、『馬鹿には見えないレーザー』よ」
    「ば、馬鹿には見えないレーザー?」
    「次にこれ」
     範子は文子に向けて携帯を操作した。
    「なに? これ? 範ちゃん?」
    「宇奈月家究極防護用具、『馬鹿には見えないシールド』よ」
    「馬鹿には見えない?」
     鉛筆を放る。鉛筆は、文子の手に当った。
    「そう。こうして命に別状のない物は通すけど、命に関わるような物は全て遮断するシールド。だから、この中にいれば絶対安全」
    「範ちゃん、それって、絶対安全じゃなくて……まあいいや」
     文子はあくびをかみ殺したくなった。
     まったく、範ちゃんの妄想に、家族が面白がって輪をかけるから……。
     文子はあきれながら外を見た。
     いきなり、校門を破って、黒塗りの車が突っ込んできた。
     文子は声を上げる暇もなかった。
     明らかに害意を乗せたその車は、校庭を真ん中まで走ってきたところで、急にボンネットが火に包まれ、男が一人こけつまろびつ這い出してきた。あたかもレーザー攻撃でも受けたかのように。
     車は爆発炎上し、乗っていた、明らかに暴走族上がりの男は炎上する車を呆然と眺めていた。
     それでも立ち直った男は2‐Aの窓に、手にしていた何かを投げつけた。
     窓から入ってきたそれを見て、文子は叫び声を上げた。どう見ても、ダイナマイトだった。
     ダイナマイトはたちどころに爆発。……したが、中の二人にはかすり傷一つなかった。
     文子は震える声でいった。
    「範ちゃん」
    「なあに?」
    「……疑ってごめん」
    「いいよ。これを払ってくれれば」
     文子は『請求書』を読んだ。文子はこのとき耳血まで出したらしい。
     どう考えても狙われていたのは範子のほうなのに……。
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    ~ Comment ~

    Re: 佐槻勇斗さん

    たぶん小さな国の国家予算くらいはあったのではないかと……(^^)

    宇奈月家お金持ちだなあ。ケチだけど。(ついでにちゃらんぽらん)

    耳血わかりますよねえ?(^^)

    Re: ネミエルさん

    耳血ですが、西原理恵子先生の、初期の代表作の「まあじゃんほうろうき」シリーズを読みましょう。

    そこでは西原先生が、鼻や口どころではなく耳からぷしっ、ぶしっと血を噴き出しながらギャンブルの泥沼にはまっていく様子がじつにありありと描き出されています。

    あれを読んだものには、ラストシーンにおける文子は「みみち」以外の表現を取ることができなかったことがわかるでしょう。

    わかりにくくてもわたしにはそうするしかできなかったのです。

    >いいわぁ!

    じゃあこれをあげましょう。「愚かな人には見えないレーザー兵器」と「愚かな人には見えないシールド」です。今ならツボとハンコもおつけして○百万円で……(←霊感商法(笑))

    NoTitle

    いったいゼロがいくつあったのやら・・・
    庶民代表には想像もつきません
    耳血…ww

    NoTitle

    えっと耳血ってなんですか?

    勉強不足だなぁ、僕。
    ドイツに2年間いたからかなぁ。

    どうも日本語が時折分からないなぁ

    あとシールドとレーザーいいですね。
    最高じゃないですか?

    レーザーいいわぁ!
    僕の憧れですよ、レーザー

    いいわぁ!

    Re: limeさん

    もとネタはもちろん「裸の王様」の仕立て屋さんです(^^) わかりにくかったらスマソ。

    あのふたり、お帰りなさいといっても月末にはいなくなって以後は月イチ更新になるんですが(爆)
    いえわたしが構想だけは長年あたためていた、悪党たちがわんさか出てくる(もちろん主人公も悪党)ファンタジー小説を書きたい気分になっているので。今イメージを整理しているところです。
    あのふたりのおバカなやりとりを書いていると落ち込んでいる気持ちが上向いてくるので楽しいですね。limeさんがラビットドットコムを書くのと似たような感じ……かなあ?

    「ウィンブルドン」面白かったでしょ? 絶対気に入ると思っていたんですよ(^^) ←感想を聞いた後だと思い切り強気になる男であった。
    読み終わった寂しさでいっぱいですって……レストラン入っておいしい料理をじゃんじゃん食べて、食後のコーヒーを飲んで、妥当な金を払った後で、帰り道でふとなぜか寂しくなることがありますが、そういうものでしょうか? それは人間の摂理です(笑)。あきらめてください(笑笑) というかあんな二人組が出てくる面白い小説ってそうはないぞ。あったとしても記憶の底……(爆爆爆)
    ネタバレの件は、「出版社の宣伝文句」に書いてあることくらいだったらいいんじゃないかなあ、と思うであります。というかあの小説の場合、ウィンブルドンの試合会場でとんでもない脅迫事件が起こる、ということを書かないと誰も「必殺技も出ないような普通のテニス小説なんか面白いわけないだろ」と思うおそれが……(^^;)

    またなにか面白い小説を思い出したらカキコするであります。

    NoTitle

    ああ、そうか(>_<)
    「馬鹿には見えない・・」んですね。一瞬
    「馬鹿に見えない・・」んだと思ってました。ごめんなさい!
    日本語マジック。
    馬鹿に見えなくなるんだったら欲しいと思ったバカな私・笑
    さしずめ、あの暴走族兄ちゃんは馬鹿だったのですね。
    範子と文子、お帰りなさい。
    相変わらずパワフルで安心しました。

    そうだ、「ウィンブルドン」とっても面白かったです。
    また、読み終わった寂しさでいっぱいです。(どうにかしてください)
    感想を書きたいんだけど、ほとんどあらずじ喋っちゃいそうで怖いです。(半分くらい・笑)
    小説のレビューって、どのくらいネタばれが許されるのか、わかりませんね。
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