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    「紅蓮の街(長編ファンタジー・完結)」
    第二部 非情の冬

    紅蓮の街 第二部 5-2

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    「そうよ。アグリコルス博士、芋はどのくらいの低温で枯れるのかしら?」

     アグリコルス博士はいささか気分を害したようだった。

    「このクワルス芋は、それほどやわな作物ではないぞ。そうとうな悪環境でも、それなりに育つ。それなりにはな」

     エリカがいった。

    「博士、それなりとは?」

    「収量が減ることは避けられん……普通だったら一ヶ月もすれば十倍以上の収穫があるところじゃが、もしこれが、平年の冬並みに下がるとしたら……収量は五分の一、いや、もっとか……」

    「そういうことよ」

     ナミは事態を理解して蒼白になっているガスにいった。

    「四十万の人間に、食べさせるものがなくなるわけ。そうなってくると、終末港の名目上の最高指導者である、エリカ・バルテノーズ公爵閣下は、人口調査を行って、配給制度を取らなくてはならなくなるわけ……これで、わかったかしら?」

     ガスはつぶやいた。

    「道理を説いてもわかりそうにない人間に、心当たりがあるぜ……」

    「奇遇ね。あたしもよ」

     ナミの答えに、エリカが鋭くいった。

    「ナミ、ガス、あなたたちがいっているのが、サシェル・イルミール男爵とオルロス伯爵ヴェルク・ガレーリョス三世、そしてその一党のことだとしたら、わたしはあなたたちに頼まなければなりません」

    「なにをですか、公爵閣下?」

     ガスとしても予想はしていたが、エリカにいわれると、自分がいまだ生きていることがいやになってくる気持ちを押さえようがなかった。

    「イルミール家、およびガレーリョス家との和解の助けになってほしいのです。それには、両家のことについて詳しいあなたの協力が必要です」

     ガスは抗弁しようとした。

    「『和解』ですって? 今さっき、公爵閣下はイルミール家とガレーリョス家、そのどちらともの間にも手打ちがあったと……」

     エリカは首を振った。

    「これ以上の暴力行為には及ばない、という言質を取ったまでです。いいですか、『彫刻屋』のガス。オルロス伯は馬鹿ではありません。敵の敵は味方、という原理をよく知っています」

    「ということは……まさか、公爵閣下、あの家の連中に限ってそれはないでしょう」

    「そのまさかをやってくるのがオルロス伯と彼の家臣たちです。ほぼ確実に、ガレーリョス家とイルミール家は和解するでしょう。彼らは一丸となって、いきなり巨大な勢力になったわれらバルテノーズ家に襲い掛かってくることは間違いありません」



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    ~ Comment ~

    Re: ネミエルさん

    三人ゲームの醍醐味は、そこをどうすり抜けて一位をキープするかですが、はたして今回の、終末港を舞台にした危険なゲームはどうなるか?(^^)

    NoTitle

    うぉぉ……。
    分かります、三国志タイプのやつ。
    確かにそうですよね。

    出る杭は打たれるものなんですね。

    解説(笑)

    これを巷では、「三国志タイプのゲームがいつまでたっても終わらない理由」だの「魔の永久運動」だなどと呼んでおります。

    要するに、三人でゲームをしていて誰かがトップを取りそうになると、ほかの二人が結託してトップを引きずりおろしにかかるから、いつまでたってもゲームがだらだら続く、という……。

    さて、ゲームが続くことになっても、とにかく人さえ死ななければいいな、と考えている常識人エリカちゃんの明日はどっちだ。
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