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    「紅蓮の街(長編ファンタジー・完結)」
    第二部 非情の冬

    紅蓮の街 第二部 5-3

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    「やりそうなことね」

     ナミはいった。

    「まったくだ」

     ガスも答えた。

    「よって、わたしとしてはあなたがたの力を借りなければならないわけです」

    「こんな力でよければ、いくらでも貸しますけどね、公爵閣下」

     ガスはそういうと、腕を組んだ。貴人の前で取るべき格好ではなかったが、頭を働かせないことには仕方がない。

    「本気で和解するつもりなんだったら、おれとこの女の首を切って、皿に乗せて差し出すのが一番手っ取り早いんじゃないかと思うんですがね」

     その言葉は、エリカを怒らせただけのようだった。

    「『彫刻屋』のガス、あなたはこのわたしに懐の窮鳥を進んで殺すべきだと本気でいっているのですか」

     ガスは頭を垂れざるを得なかった。

    「失礼しました、公爵閣下」

     エリカは手を挙げて、ガスのそれ以上の詫びを制した。

    「確かに、あなたの言うことはもっともです、ガス」

     口調こそ穏やかであるものの、エリカの立腹はまだ続いているようだった。それが、ガスをより恥じ入らせた。

    「しかし、バルテノーズ家の当主は、味方となってくれた人間を殺すより、彼らをわが家の中でいかに活かすかを考えるべきであるし、またそうあるものなのです。ガス、ナミ、あなたがたはその武勇と統率力により、わたしたちにとっての貴重な戦力です。みすみす、命をただで相手にくれてやるわけにはいきません」

    「相手が要求してきたら?」

     ナミが尋ねた。自分の命がかかっている質問のわりには、まるで他人事のようにずいぶんと落ち着いたものだった。恐らくはそうすることによって、気持ちを落ち着け、どのような状況の悪化に対しても柔軟に対応しようというのだろう、と、ガスはナミの心を推測した。

    「それを避けるような知恵を絞るのがわたしとあなたたちの仕事です」

     エリカの言葉はもっともだった。

     だが。

    「危ないわね」

     論評したのはナミだった。

    「こういった街で、一家を預かる人間が、そんな考えをしていたら、機を失って家を潰すもとになるわよ」

     エリカはナミに鋭くいった。

    「今のところ、バルテノーズ家は滅亡していません。先祖代々、どんな困難にもこの態度で臨んできたのですけれどね」

    「今日までの成功が、明日の成功も保証してくれるとは限らないわ」



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    ~ Comment ~

    Re: ぴゆうさん

    現実世界でのわたしはどうしようもないくらいの口ベタ議論ベタですので、フィクションの中でくらいは……と思ってしまうのであります(^^;)

    それにしても、登場人物がしゃべっているだけでちっとも話が前に進まん(^^;) 第二部全16章、もう三分の一というところだぞ! いいのかおい!(^^;)

    Re: limeさん

    小説書いていて、もしかしたらわたしには「常識」が足りないのではないか、と思っておりましたので、エリカちゃんをそう評していただけるとありがたいです。

    丸く収まったら小説が終わってしまうではないですか。まだ半分以上残っているのに。

    三国志は、魏の曹操がむちゃくちゃ有能で、ほかのふたり、劉備と孫権が手を組んでもどうにもならないところまで国を広げてしまいました。
    後継者にも恵まれ、曹家のワンサイドゲームかと思っていたらとんでもない伏兵がいきなり現れて、不意打ちみたいにして三国を統一してしまうんですけど、それは史書をお読みください(^^)

    NoTitle

    サロメのシーンを思い出してしまった。
    聖人にはもっとも似つかわしくない二人。
    首だけになっても毒を吐きそう。

    ナミとの丁々発止、エリカは引けを取りませんねぇ。
    口も達者だわ。

    NoTitle

    エリカ嬢が、とても常識を持った人なので、この物語では「異色」に見えてしまう不思議。

    さあ、まるく収まる案はでるんでしょうか。・・・

    で、三国志は結局、どこかが優位に立てたんですか?(よく知らない人(>_<)
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