ささげもの
10002ヒット:ECMさんに捧ぐ
「範子と文子の『ああシリーズ』体験記」
範子はコタツから顔を上げた。テーブルの上のカレンダーつき時計は二〇一一年の一月一日十二時五〇分を差している。
部屋に文子が入ってきた。
「おはよう、文子」
「範ちゃん、もう昼間だよ」
「ううう……」
範子は頭を上げた。
「文子」
「なあに、範ちゃん?」
「ファミレスに行きたいわね」
「ファミレス? 元旦はおせちときまってるよ、範ちゃん」
「いいえ、今日はファミレスに行きたいの」
「なんでまた」
「正月をファミレスで過ごすのはあたしの野望の一環なのよ」
「別にいいけど……お金ある?」
「お父様からお年玉が」
「え?」
「カードの限度額が今日だけ五千円に」
「微妙な数字だね、範ちゃん。じゃ、行こうか。でもどこへ?」
「洋物や中華よりは和食がいいわね」
「夢○か華○与○衛とか?」
「ちょっと、ここからじゃ遠いわね。わたしの家が新規チェーンをオープンしたばかりだから、そこへ行きましょう」
「そんな店あったっけ……?」
ふたりは着替えると、ぶらぶら歩きながら、その「ファミレス」に向かった。(「ああファミレスに行きたい」クリア)
ウェイトレスさんが運んできたお茶をもらうと、ふたりはメニューを眺めた。
「予算は多くて五千円だね。五千円あれば、なんでも食べられるね」
「おごるわよ、文子」
「てことは二千五百円? それでもけっこう食べられるよ、ファミレスだもんね」
「あ、これ、どう? お雑煮鍋だって」
「へえ、コンロで鍋を煮ながらお雑煮食べるのか。いいね、範ちゃん、これにしよう。すみませーん!」
文子はボタンを押してウェイトレスを呼んだ。
やがて、二人の前に、ぐつぐつと煮える餅入りの鍋が運ばれてきた。
いいように煮えたところで、蓋を開ける。
「けっこう、ファミレスにしては本格的だね、範ちゃん」
「そうでしょうそうでしょう」
「さあ、食べようよ」
ふたりは餅に口をつけた。(「ああ鍋料理が食べたい」クリア)
「あっ、雪だよ、範ちゃん」
「あれは窓じゃなくてテレビのニュースよ。たいへんねえ、日本海側では豪雪だって」(「ああ雪が見たい」クリア)
「そうだね、範ちゃん」
「こうして二人であったかいところで熱いものを食べていると、なんだか、身体が、あったまって……」
範子はほわーっとした気分になり、ファミレスも、雪も、文子も……。
× × × × ×
「範ちゃん、あたしのベッドをいつまで占領しているのかなあ。ああ、まったくもう、幸せそうな顔して……」
「……文子、もう食べられないわよ……ZZZ」
文子は頭を抱えた。
「どんな夢見てるのかなあ。でも、これじゃ、わたし、いつまでたっても寝られないよ」
「文子……そんなこと……ZZZ」(「ああ寝ていたい」クリア)
文子ははっとした表情になった。
「もしかして、せっかくの10002ヒット記念ショートショートが、これで終わり? オチは? ねえオチは?」
ないのだ、文子。
「もしかして、年末ボケと正月ボケが、まだ治ってないのかなあ、作者……」
認めたくないものだな原稿真っ白ゆえの過ちというものは。
元小説:範子と文子の三十分一本勝負 範子と文子の三十分的日常
範子はコタツから顔を上げた。テーブルの上のカレンダーつき時計は二〇一一年の一月一日十二時五〇分を差している。
部屋に文子が入ってきた。
「おはよう、文子」
「範ちゃん、もう昼間だよ」
「ううう……」
範子は頭を上げた。
「文子」
「なあに、範ちゃん?」
「ファミレスに行きたいわね」
「ファミレス? 元旦はおせちときまってるよ、範ちゃん」
「いいえ、今日はファミレスに行きたいの」
「なんでまた」
「正月をファミレスで過ごすのはあたしの野望の一環なのよ」
「別にいいけど……お金ある?」
「お父様からお年玉が」
「え?」
「カードの限度額が今日だけ五千円に」
「微妙な数字だね、範ちゃん。じゃ、行こうか。でもどこへ?」
「洋物や中華よりは和食がいいわね」
「夢○か華○与○衛とか?」
「ちょっと、ここからじゃ遠いわね。わたしの家が新規チェーンをオープンしたばかりだから、そこへ行きましょう」
「そんな店あったっけ……?」
ふたりは着替えると、ぶらぶら歩きながら、その「ファミレス」に向かった。(「ああファミレスに行きたい」クリア)
ウェイトレスさんが運んできたお茶をもらうと、ふたりはメニューを眺めた。
「予算は多くて五千円だね。五千円あれば、なんでも食べられるね」
「おごるわよ、文子」
「てことは二千五百円? それでもけっこう食べられるよ、ファミレスだもんね」
「あ、これ、どう? お雑煮鍋だって」
「へえ、コンロで鍋を煮ながらお雑煮食べるのか。いいね、範ちゃん、これにしよう。すみませーん!」
文子はボタンを押してウェイトレスを呼んだ。
やがて、二人の前に、ぐつぐつと煮える餅入りの鍋が運ばれてきた。
いいように煮えたところで、蓋を開ける。
「けっこう、ファミレスにしては本格的だね、範ちゃん」
「そうでしょうそうでしょう」
「さあ、食べようよ」
ふたりは餅に口をつけた。(「ああ鍋料理が食べたい」クリア)
「あっ、雪だよ、範ちゃん」
「あれは窓じゃなくてテレビのニュースよ。たいへんねえ、日本海側では豪雪だって」(「ああ雪が見たい」クリア)
「そうだね、範ちゃん」
「こうして二人であったかいところで熱いものを食べていると、なんだか、身体が、あったまって……」
範子はほわーっとした気分になり、ファミレスも、雪も、文子も……。
× × × × ×
「範ちゃん、あたしのベッドをいつまで占領しているのかなあ。ああ、まったくもう、幸せそうな顔して……」
「……文子、もう食べられないわよ……ZZZ」
文子は頭を抱えた。
「どんな夢見てるのかなあ。でも、これじゃ、わたし、いつまでたっても寝られないよ」
「文子……そんなこと……ZZZ」(「ああ寝ていたい」クリア)
文子ははっとした表情になった。
「もしかして、せっかくの10002ヒット記念ショートショートが、これで終わり? オチは? ねえオチは?」
ないのだ、文子。
「もしかして、年末ボケと正月ボケが、まだ治ってないのかなあ、作者……」
認めたくないものだな原稿真っ白ゆえの過ちというものは。
元小説:範子と文子の三十分一本勝負 範子と文子の三十分的日常
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NoTitle
キャラクターなんて考えたことはほとんどないですね。
ほとんどが絵が完成してから、てきとうにキャラクターを決めているという。
まあネタに使えたようでなによりです。
ほとんどが絵が完成してから、てきとうにキャラクターを決めているという。
まあネタに使えたようでなによりです。
Re: ECMさん
どうやってうちのキャラクターをECMさんのブログに絡めるかについてもう悩みに悩んで(^^)
「ああシリーズ」は救いの神でした(^^)
次回からはやるとすればキリ番を踏んだかたからお題をいただいて書く、という方式に変えようと思います(^^;)
「ああシリーズ」は救いの神でした(^^)
次回からはやるとすればキリ番を踏んだかたからお題をいただいて書く、という方式に変えようと思います(^^;)
NoTitle
ああシリーズを全部クリアしてくれたのですね。ありがとうございます。
あのシリーズもずいぶん更新していませんけど、てきとうなこと描いてます。
気に入っていただけたようでなによりです。
あのシリーズもずいぶん更新していませんけど、てきとうなこと描いてます。
気に入っていただけたようでなによりです。
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Re: ECMさん
「ああコンバットコミックが読みたい(笑)」