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    「紅蓮の街(長編ファンタジー・完結)」
    第三部 殺戮の春

    紅蓮の街 第三部 11-2

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    「だから何度もいっているでしょう。あたしの配下のこの男たちを、一人前の海の男に鍛えて、長期間の航海に耐えられる人間にすることよ」

    「お前の配下……この異民族だな」

     ガスは窓の外のゲイロを見た。

    「スワルヴェ族という名前がしっかりとあるんだから、それなりの敬意を払ってそう呼んで欲しいわね」

    「名前なんかどうでもいい。とにかく、こいつらを船乗りにして、どうする気だ。海賊業でも始めるのか」

    「もっとでかいことよ」

     ナミは机上から書類を取ると、さっと一瞥した。

    「妙なことはしていなさそうね。これでけっこうよ」

    「ナミ、おれの質問がまだだぞ。でかいこととはいったいなんだ」

    「あなた、あの本をまじめに読んでなかったの?」

    「なんだと?」

     ガスは本の内容を思い出し……呆れたように叫んだ。

    「まさか、お前……あの航海日誌に書かれていた与太話を、信じているのか!」

     ナミはうなずいた。

    「もちろんよ」

    「馬鹿なことをいうもんじゃない。この終末港から東の海には、島もなければ、お前の本に書いてあった大陸もないんだぞ!」

    「あなた、見たの?」

     ナミにいわれて、ガスは詰まったが、それでもいい返した。

    「見たわけじゃないが……それでも、この何千年もの間、この港から東に探検に出て行った船は、一隻として島ひとつ発見したものはないんだ!」

    「あるじゃないの。この航海日誌の主よ」

    「でたらめだ!」

     ナミは学生に講義するようにいった。

    「いい? あたしは、この本を、完全に蝋漬けされた状態で、海に打ち上げられているのを発見した。その後、この本に書かれている船が実在したのかどうかを、進水した港の公文書館に行って調べてみた。その船はあった。あたしは、それからも『大陸』じゅうを回って、この船の足取りを追った。この日誌に書いてあるとおりだった。ひとつの港では、この日誌を書いた船長の奥さんにも会って話を聞くこともできた。……いろいろな調査結果を総合してみると、あたしはこの日誌に書かれていることが、真実であるという結論に至らざるを得なくなった」

    「……………………」

    「スワルヴェ族は、『帝国』の西方地域に住む蛮族でね、『帝国』の辺境防衛という名の侵略に対して、果敢に立ち向かっていたんだけれど、衆寡敵せずに滅亡寸前になっていたのよ。あたしの目的にはぴったりだったわ」



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    ~ Comment ~

    Re: limeさん

    ちょうどわたしもなんでもいいからおしゃべりをしたかったのでいいですよ~(^^)

    もし送られてきたのが1996年度版だったら、いちおうわたしも近所の古本屋を探してみますけど、熱烈なファンが多いからかなりの稀覯本になっているという噂もちらほらと。

    まあ20年も探していればいつかはぶつかるのが古本というものでありますよ、はっはっは(^^)

    NoTitle

    ぜ・・・・・・・全然違うぢゃないですか (∥ ̄■ ̄∥)

    知らなかった・・・・・・・(>_<)

    なんかもう、こうなったら何がなんでも手に入れたくなってきます!!オークション、やったことないしなあ・・・・i-181

    (すいません、何度もこんなんでコメ、いっぱいにして・汗)

    Re: limeさん

    表紙絵が「ちょっと」違う……?

    1991年度版の表紙絵は、

    これ http://auction.jp.msn.com/item/151697820

    なんですけど……。(^^;)

    ちょっとわたしも脅しすぎの感があるけど、

    物事はつねに「最悪の事態」をだな……げふげふ。

    NoTitle

    ええええ。
    そんなハードカバーも???
    あ、ありえる(≧∇≦)wwwwwww

    でも、送料込みの600円だから、そうだとしても、怒りませんよ~♪
    だって表紙絵がちょっと違うし、それだけでもうれしい。
    (どんだけラブよ^^)

    Re: limeさん

    1991年版の旧版だと思って買ったら送られてきたのは1996年版(文庫版とまったく同じ内容らしい)でlimeさん大激怒、というオチが来るような気がするのはわたしが悲観論者だからか(^^;)

    ユーザーコメント欄がまったく同じだったから気になるんだよなあ……。

    奥付を見て、1996年以降の数字が書いてあったら、「だまされたああああ~!!」と叫んでください。

    NoTitle

    あ!そう言えばまだ見てません、あのメール。
    ま・・・まだちょっと怖いから、もう少し復活してから見ます^^
    う~~ん、でもまだまだ、かなり高村先生ラブだからなああi-201
    もっと、心を鍛えてから見ます(^^ゞ

    Re: limeさん

    ナミですが、ある意味海賊よりもっとたちが悪かったりして(笑)

    ワクワクしていただければありがたいんですけど。

    「神の火」レビューは……震災がらみでヒステリックになっている人たちが落ち着いて、ほとぼりが冷めるまで待ったほうが得策に思えます。よけいな摩擦は避けるが吉かと……。

    ハードカバー「神の火」は懐かしいなあ。初高村薫経験だったもんなあ。日本にもこんな骨太の海外ミステリにも比肩しうる作品を書ける人が出たんだ、しかも新人で、と嬉しかったもんなあ。その幸福だった蜜月が、後にこないだlimeさんにメールをしたような状況になるわけですが……(^^;)

    NoTitle

    え?ナミは海賊になるんじゃなかったのね!?←大バカ。

    なんだか、少しずつナミのロマンが見えてきたような気がします。
    (相変わらず、人様の作品の先読みがまるでできない私でありますが・笑)
    ますます、楽しくなってきました。
    謎だらけの時より、ほぼ解けて来た時の方が、ワクワク感は大きいですね^^

    あ、先ほどアマゾンで「神の火」ハードカバーを発見しました!!!
    うれしいです。
    買いました(^^ゞ
    良がかなり暴力的だったり、日野がすごかったり・・・・っていう感想を聞くと、もう、早く読みたくてたまりません。
    (私も懲りないな・笑)
    でも、最終レビューはやっぱり、しばらくは書かないほうがいいでしょうか・・・(T_T)
    つ、・・つらい。

    Re: ぴゆうさん

    ごめんなさい(汗)

    考えてません(汗汗)

    設定に凝りだしたらきりがなくなって小説が書けなくなると思ったので、そういったところは、「すべてすっ飛ばして」書いておるものでして。

    ほかにも「設定していないところ」は山ほどありますが、それらは完結してから裏話みたいにして白状するつもりであります。

    だいたい、この世界、「度量衡」すら設定してないもんなあ……。

    NoTitle

    ちょっと地図が欲しいなぁ。
    位置関係を知りたくなる。
    終末港やスワルヴェ族が死守していた辺境の場所とかね。

    Re: ミズマ。さん

    何度も繰り返しますが、ナミはどうしようもないほど愚かなロマンチストなのです。

    金銭に執着するのは、

    「カネなんかどうでもいい」

    からであります。逆説的ですが。

    まあ、明日の更新をお待ちください。

    ナミ嬢の目的出ましたね!
    や、前から確かに明言されてましたけど。
    帝国に知られていない大陸を確認したい、なんて夢物語っぽいことは彼女らしからぬ気もしますね^^; 当然、そこに絡む利権目当てなんでしょうが。
    でもあえて、その夢物語がナミの目的だったら、彼女の魅力が増す気はしますが……。
    いや、なさそうですね^^;
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