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    いただきもの

    黄輪さん範子文子小説!

     ←趣喜堂茶事奇譚/深く静かに沈没せよ!!(その2) →黄輪さんお返し趣喜堂!(その1)
    黄輪雑貨本店」の黄輪さんが、自作ファンタジーの登場人物と、うちの看板娘をコラボして、素敵なショートショートを書いてくれました! 感激!
     
     以下どーん。

    ※ ※ ※ ※ ※


    黄輪雑貨的、範子と文子の三十分旅行

    「ねえ、範ちゃん」

    「なあに、文子?」

     宇奈月範子は横に立つ親友、下川文子の憮然とした声に、ニコニコと笑いなが
    ら応じる。

    「わたしの言ってたこと、覚えてる? 旅行に行きたいなー、って話の」

    「ええ、勿論覚えているわ。外国の、どこか大きな街に、って」

    「そうよね、うん。大きな街に、って。うん、確かにさ、すごく大きい街だよね」

     文子の言葉に、範子はうんうんと、深くうなずいた。

    「ええ。満足してくれた?」

    「……それに答える前にさ、ちょっと確認したいの。

     わたしは、外国の大きな街に、って言ったわよ、確かに。でも『外国』っ
    て、……その、まあ、確かに外国と言えば外国よ、日本の外なんだし。

     確かに、一般的な解釈としては、『外国』って言ったら、日本ではない場
    所、……よね」

    「そうね。確かにここは日本じゃないわ」

    「……でもさ、地球ですらない、って言うのはどうかと思うのよ」

     文子はくる、と振り返る。そこには雑多な港町があり、大勢の人間が行きかっ
    ていた。

     ただし――文子の目には、その大多数が普通の人間とは認識できなかった。

     その大多数には、狼や狐、猫などのケモノに似た、耳と尻尾が付いていたからだ。

    「……どこって言ってたっけ、ここ」

    「ゴールドコーストよ」

    「……範ちゃん。わたしの知ってるゴールドコーストはね」

    「文子の知ってるのは?」

    「オーストラリアの州、なんだけど。ここ、地球じゃないよね」

     きょろきょろと辺りを見回す文子に対し、範子は平然とした態度で説明する。

    「ええ。ここはゴールドコースト市国という街よ。この世界で一番大きな街」

    「……どの世界なの? わたしたちまた、ヘンなところに来ちゃったの?」

    「まあ、いいじゃない」

    「よくないっ。大体、どうやってここに、……はもういいや。

     また多世界解釈とか、次元移動とか、めんどくさい説明に入るんでしょ」

     口をへの字に曲げる文子に、範子はいたずらっぽく笑いかけた。

    「説明、聞く?」

    「やだ。……はぁ、もういいや。

     じゃあさ、折角来たんだし、観光しようよ、観光」

    「いいけど、ここにいられるのも後、15分よ」

    「えぇ!? なんで?」

     これまた、範子は平然と――もう超然と言っても差し支えないくらいに――こう返
    した。

    「この時点で、作者の黄輪さんが15分使ってるからよ。ポールさんに対抗し
    て、30分で書くつもりなんだって」

    「……メタもやめようよ。じゃあ、急いで15分以内に、見れるところを見ないと」

    「そうね。じゃあ、ここからは闘技場が近いから、有名選手にサインでももらい
    に行きましょう」

     その言葉に、文子は首をかしげた。

    「範ちゃん、この街のこと知ってるの?」

    「何で知ってるか、説明、聞く? 聞きたい?」

    「……いい」

     そんなこんなで、二人は港を抜け、闘技場へと到着した。

     と、ロビーに入ったところで、人だかりができているのを、範子が見つける。

    「あ、……えーと、第5部、姉御録の、……そうそう、これ! このシーン!」

    「何読んでるの、範ちゃん? ……あ、いいや、聞かない」

    「あそこ行きましょ、文子!」

     範子は文子の手を引き、半ば無理矢理に人だかりを割って入る。

    「すみませーん! サインくださーい!」

     範子はどこから取り出したのか、サインペンと色紙を手に、人だかりの中心に
    いる猫耳の女性に声をかけた。

    「ああ、少々待ってくれ」

     その猫獣人の、どこかサムライっぽい女性は、範子から色紙を受け取り、サイ
    ンを二人分書いて――。

    「お返しする。……む?」

     返そうとしたところで、その二人がどこにもいないことに気付く。

    「……面妖な」



     地球、私立紅恵高校の、教室のど真ん中。

    「あー、30分経っちゃった。残念ねぇ」

     口をとがらせる範子に対し、文子は釈然としなさそうな顔で、こう返した。

    「……わたし、何が残念なのか、さっぱり分かんないよ。

     よく分からない街に行って、誰だか知らない人のサイン、もらい損ねても」

    「……それもそうね。じゃ、今度はちゃんと、地球の大きな街に旅行しましょ」

    「さんせーい」




    ※ ※ ※ ※ ※



     ありがとうございますうううう! でも、あの世界で、われわれの世界の普通の人間が町を歩いていたら、そっちのほうに見物人の人だかりができそうな気がする(笑)

     というわけで、今日から四日間にかけて、お返し企画をお届けします! 

     さてさていかなることに相成りまするや、お楽しみに!
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    ~ Comment ~

    Re: 黄輪さん

    書いていたら妙に長くなってしまって(^^)

    普通の女子高生というだけでも珍しがられるのに、デジタル時計なんか見せたら……何クラムで売れるでしょうか?(笑)

    NoTitle

    さっそくの掲載、ありがとうございます。
    ……って、四倍返しですかΣ(゚∀゚;)
    楽しみにしてますねー。

    確かに普通の女子高生があの世界を歩いていたら、とっても異様に映るでしょうね。
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