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    「エドさんとふしぎな毎日(童話)」
    探偵エドさん(童話掌編シリーズ・完結)

    エドさん探偵物語:21 ぼくたち宇宙人

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    ぼくたち宇宙人



     その日、エドさんは、探偵事務所の机の前で、うつらうつらしていました。仕事がないと、私立探偵はひまなのです。

     エドさんの夢を破ったのは、扉をノックする音でした。

    「はい、開いてますよ」

     エドさんがぼんやりとした頭で答えると、一人の、どこにでもいるような男が入ってきました。

    「ええと……お名前とご用件を……」

    「ロドニーといいます。観光でこの星に来たのですが、妻とはぐれてしまいまして」

    「星……!」

     エドさんの目がぱっちりと覚めました。

    「すると、あなたは?」

    「はい。異星人です」

     エドさんは頭を抱えました。探偵事務所を構えて長いことなりますが、ついに来るべきものが来た、という思いです。

    「えーと、あなたの姿を見ていると、地球人としか思えませんけれど」

     男はうなずきました。

    「ええ、ぼくの星は、偶然、この、あなたたちが地球と呼んでいる星とまったくといっていいほどそっくりな進化の歴史をたどったんです。魚類、両生類、爬虫類、哺乳類って」

    「偶然?」

    「偶然にです。無論、ぼくたちも、自分の星のことを地球と呼んでいます。人類が誕生してから文明を築くまでの歴史も、細かい相違はありますが、ほぼそっくりで、しゃべる言葉も、ほら、翻訳機なしでなんとかなるでしょう」

     エドさんは頭の中で電話帳を繰りました。病院、病院……。

    「ということは、あなたは、どうやって自分が宇宙人であることを証明するんですか?」

    「宇宙人といういいかたは傷つくなあ。ぼくの星では、地球人というのが当たり前ですから。せめてもうちょっとかっこよくいえないものですかね。異星人とか」

     エドさんは頭をかきむしりたい衝動にかられました。

    「それで……」

    「わかってます。わかってますとも。ぼくが他の星からやってきた証拠ですね。ぼくの存在が、その最も有力な証拠です。ぼくの地球では、あなたたちの星より文明がいくらか進んでいて、恒星間飛行もできるんですから」

     エドさんは歯ぎしりしました。

    「それじゃあ」

     エドさんは、立ち上がって、窓辺に行き、通りを見下ろして、通りかかった若い女性を指差しました。

    「じゃあ、あの人も宇宙人ということですか!」

     男は窓辺にくると、エドさんの隣で、あっと声を上げました。

    「そうです! あの人が、ぼくの妻です! まさか、こんなに早く見つかるなんて思わなかった! やあ、さすがはあなたは名探偵だ! 感謝します!」

     男はスキップしながら事務所を出て行きました。エドさんはあっけにとられ、お金を請求することすら忘れていました。

     息を切らしながら、黒い髪の、きれいな女性が入ってきたのはその直後でした。

    「今、ここに、自分は宇宙人だっていう男が入ってきませんでしたか!」

     エドさんは、ようやく話のわかる相手がやってきたぞ、と安心する思いでした。

    「ということは、あなた、あの人の奥さんですか?」

    「はい。妻です。あの人、どっちに行ったんですか?」

     エドさんは、頭をかきかき、すまなそうにいいました。

    「あの人は、わたしをからかうだけからかった後、この下を通りかかった若い女性の後を追って……」

    「まあ! あの人、またこの星の女の人をひっかけようとして! 異星人とあまり深く関わるのは法律違反なのに! それに、わたしというものがありながら! あの人ったらまったく! くやしいーっ!」

     そう叫ぶと、女の人は、エドさんがてっきり腕時計だと思っていたものを、手で操作しました。

     閃光が走ったかと思うと、女性の姿は消えていました。

     エドさんは目をぱちぱちさせることしかできませんでした。



     それ以来、エドさんは、時おりふと思うことがあります。もしかしたら、自分も、この星の人間じゃないんじゃないだろうか、生まれは別のどこか遠い星で、小さいころに地球へ送られてきたんじゃないか……。

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    ~ Comment ~

    Re: fateさん

    わたしそこまで楽観的になれません(-- )

    まず絶対、徹底抗戦派と降伏恭順派にわかれて内ゲバに明け暮れると思います。

    「SF」カテゴリにある「カッサンドラは誰も信じない」というショートショートもごらんいただければと……。

    いや、もしかして!

    異星人に襲撃されたら、地球人たちは一致団結するだろう!

    誰か、脅してくんないかね?

    Re: fateさん

    あっ、ヒューマノイド至上主義者だ(爆)

    でもわかるその気持ち(^^)

    てめえは白人だ黒人だ黄色人種だと殺しあいだの戦争だのを飽きもせず繰り返している地球人に、真の意味での、異星人との共存の道は遠いですなあ……。

    地球人にそっくりな異星人の存在なら、許せるなぁ。

    気持ち悪くないモン。

    Re: YUKAさん

    真面目な話、異性相手でも同性相手でも、好きな人を好き、といえる世界は正常なのだと思います。それが少しでも崩れると……。

    怖い話になてしまた!

    こんばんは♪

    こんばんは^^

    おお!宇宙人がきた~^^
    どこの世界でも、男性は女性が好き~~ってことでしょうか(笑)
    ま、今時の女性は、違うとは言えませんが。

    Re: 有村司さん

    大丈夫です。

    作者がほんとに芸もひねりもないパクリだと思っているのなら、こんなところでネタもとを堂々と書いたりしません(^^)

    ちなみに、星先生のショートショートは、オチも違いますし、星先生のほうが社会風刺がはるかに強烈ですので、読み比べてみるのもいいかもしれません。

    とはいえ、タイトルを度忘れしてしまいましたが(^^;)

    ムカムカムカ…

    おはようございます!

    いえ!朝からポールブリッツさまに立腹している訳ではないのです。
    アマチュアの方の作品ですが、最近すごく感動したお話を読んだことを、自分の友人に話しました。
    すると友人「それは銀〇のパクリだよ。それはこんな話でね…」と得々と話をし始めました。
    …聞いた結果、全く違う話でした。

    悪い人ではないのですが、その友人は、すぐ「それは〇〇と似ているね」だの「それは○○のパクリだよ」だのと言うのです。
    面倒なのでハイハイと聴いていますが、拙作についても一度「これは○○と同じ事をしたかったんでしょ?似てるよね」と言われ、キレそうになったことがあります。

    「盗作」「パクリ」というのは、一文でもまるで一緒の個所がない限り、そうとは特定できないのだと聞きましたし、「似たような話」なら、それこそ何処にでもゴロゴロ転がっているご時世だと思います。

    アマチュアであっても、その人が魂を込めて書いたものを、実際読みもせず「○○のパクリ」の一言で済ますとは…と、昨夜ムカムカした次第です。

    で、何を言いたいか?と申しますと、たとえ星新一先生の話に似ていようが、これはポールブリッツさまのオリジナルです!胸張って下さい!
    面白かったです!

    長々とすみませんでした…(土下座)

    Re: ぴゆうさん

    安部公房先生に、「人間そっくり」というSFがあります。

    あれは衝撃的でした。

    それをひねってみて、「宇宙を隔てて遥か彼方の地球とそっくりの星に住み、地球とそっくりの歴史を重ねて、人間とまったく同様の身体を持つようになった宇宙人の種族」がいたら面白いんじゃないかな、と思って書いてみたSFです。

    これを書いてから、そういやあ星新一先生のショートショートに似た話があったなあ、と後ろめたい気分に(^^;)

    NoTitle

    宇宙人が身近に感じた。
    こんなのもいいよね。

    Re: ゆういちさん

    簡単な宇宙人の見つけかた。

    1.雑踏の真ん中に立つ。(人通りはできるだけ多いほうが望ましい)

    2.息を深く吸い込む。

    3.可能な限り大きな声で、「おーい! 宇宙人!」と叫ぶ。

    4.振り向いた人が宇宙人。


    さあやってみよう! 責任は取らないが(笑)

    こんばんはー

     
     キリ番まであとちょっとですねv-291 


     宇宙のどこかに、知的生命体はきっといるでしょう。
     どんな姿形をしているか? 人間そっくりである可能性も十分にあります。世の中は可能性によって形作られてますからね~

     
     友達に宇宙人見たって言う人がいましたが、素直に信じておこうと思います。


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