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    ささげもの

    TAMAさん15位おめでとう企画ショートショート!

     ←範子と文子の三十分的日常/六月・月末 →趣喜堂茶事奇譚/クトゥルー神話(その1)
     相互リンクしていただいている「マントヒヒ村上」のTAMAさんが、アルファポリスの小説コンテストで150人ものライバルと競い合い、最終的に15位という好成績をおさめたことを祝賀して、勝手に二次創作小説をプレゼント!

     以下どーん。



    ※ ※ ※ ※ ※





    芸術はマントヒヒ


    「おい、村上」

    「なんだ、万田」

    「あの人間の女、さっきからお前たちの檻の前でなにをやっているんだ」

     万田の困惑に、オレはキザに笑ってみせた。

    「絵を描いているんだよ」

    「絵……」

     そうだった。オレとかず子のいるマントヒヒの檻の前で、その栗色の髪をした人間の女は、画板の上に一心に鉛筆を走らせていたのだった。しかも五時間もぶっとおしで。

    「なんだ絵かよ。そんなの、オレだって描かれたことがあるぜ」

     万田の強がりを、オレは鼻で笑った。

    「お前を描いてくれたのは、遠足に来た幼稚園児ひとりきりじゃないか。それに十分で飽きて別な檻に行ってしまっただろ。それに比べると、あの女、ただものじゃないぞ」

    「ただものじゃない……?」

     万田は、なんともいえぬ目で、その絵を描いているらしい女を見ると、檻の格子にしがみついた。

    「村上、それはどういうことなんだ」

    「『げいじゅつか』と呼ばれる人種らしい」

    「『げいじゅつか』……すると、あれか? 『美』を追求することを専門にしているとかいう人間……」

    「そうだ。考えてみろ、万田。もし、オレたちマントヒヒが見事に描かれた絵が、有名になったらどうなるかをな」

    「有名……」

    「そのときは、オレたちマントヒヒは一躍、時の人、じゃなかった、時のサルになるんだ。そうすれば、こんな狭苦しい檻からはおさらばし、パンダやコアラといった連中と同じく、冷暖房完備でもっと広い檻に移ることになる」

    「A○Bも夢じゃないんですけどー! ていうかチャンスみたいなー!」

     隣でかず子がリンゴを振り回しながら叫んだ。

    「そ、そんなことあるわけないだろう……」

    「そうかな。オレの見たところでは、あの人間の女、集中力からしてただものではない。絶対に、後世に名を残す人間だ。悪いな、万田。マントヒヒのほうが、マンドリルよりも美しかったってことだ」

    「ふっ……負けたぜ、村上」

     万田は肩を落とした。

    「もし、お前に友達を思う気持ちがあったら、広い檻に移ったときにはオレのことも思い出してくれよ」

    「約束するさ」

     オレと万田が瞳で語り合っていたとき、小太りの男が絵を描いていた女のそばへやってきた。

    『絵はできたのかい?』

    『ばっちりよ。これは傑作になるわ。今度の賞はこれでいただきよ』

     ふたりは外国語で話していたが、だいたいの内容はオレにもわかる。

     オレは万田にいった。

    「傑作だとさ。賞だとさ。悪いな、万田」

     万田は言葉もなかった。

    『しかし、わたしには君の芸術がよくわからないんだが』

    『心の目で見るのよ』

     女は、小太りの男のほうに振り向いた。そのとき、絵の中身がオレたちにも見えた。

    「これってわけのわからない抽象画なんですけどー!!」

     かず子が叫んで、猛烈な勢いで女にリンゴを投げつけた。

     珍しいことに、かず子の狙いは外れた。

     リンゴは隣にいた小太りの男に命中し、男は昏倒した。

    『エドさん! エドさん! しっかりして!』

     昏倒した男を、女は揺さぶった。

     万田は、全てを許すものの高慢さをちらつかせ、にやにやと笑いながらオレにいった。

    「檻を移っても忘れないでくれよな」

    「ああ……努力するよ」

     オレはへたりこんだ。




    ※ ※ ※ ※ ※



     まあ、今回は1位が取れなかったけど、いつかは1位だ! 出版だ!

     その日が来るのを楽しみにしています(^^)
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    ~ Comment ~

    Re: ローガン渡久地さん

    そ、それはいいですが……。

    村上(♂・人間換算25歳)
    かず子(♀・人間換算60歳)

    で腐絵を描いたら……。

    誰得な絵ができるのではないかと(笑)

    ゴメンナサイ

    先程のコメントで「ポールさん」が「ポイールさん」になっていました!!
    大変失礼な打ち間違いをしてしまいました。
    申し訳ございませんm(_ _)m

    中傷が←「ちゅうしょうが」で最初に出たのがコレ

    ポイールさん、こんにちは!!

    彼女が村上(とかず子)を見ながら描いていたのは、てっきり腐絵だと思っていました(>_<)

    腐っていてスミマセンv-436

    Re: ぴゆうさん

    ありがとうございます。

    TAMAさんの作品を読むたびに楽しくて大笑いしているうちに、自分でもそういうものが書きたくなって(^^)

    村上も万田もかず子も、それぞれに魅力的な登場人(?)物ですから、雰囲気を壊さないように一気に書きました。

    今度はこれをエドさん視点から再構成して、エドさんの事件簿の挿話に使おうかな、などとよからぬことを考えております。いつになるかはわかりませんが……。

    NoTitle

    面白かったぁ~~
    TAMAさんの作品の良さをそのままに、自由闊達に遊んだみたいな。
    ポールらしさもあって、いいね。

    抽象画かぁ。
    村上の野望は遠いいなぁ~~

    Re: TAMAさん

    喜んでいただけたようでほっとしました。

    作劇上、万田と村上の役割が逆になってしまいましたが、小説全体を考えるとこうするしかなくて。

    村上らしく、万田らしく、かず子らしく描けていれば幸いであります。

    またなにかきっかけがあったらプレゼントできればいいなあ。

    もしよかったらお持ちになってください。「ささげもの」ですので。

    まるで押し売り(笑)。

    NoTitle

    ありがとうございました!笑いました!
    どんな表情で村上はモデルになっていたのか・・・それを万田はどんな思いでながめていたのか・・・そして突然入ってきたかず子。自分で書いていると彼らの気持ちは設定として自分の中で決まってしまっているので、今回、すごく新鮮な気持ちで三頭の姿を思い浮かべられました。本当にありがとうございました。

    Re: 矢端想さん

    ようやく彼女の天才をわかっていただけましたか(^^)

    彼女になりかわって、ありがとうございます(^^)

    NoTitle

    5時間もマントヒヒを見ながら抽象画を描く、この彼女に興味があります。

    天才です。

    Re: limeさん

    もし怒られたらどうしよう、と、ちとガクブルだったりします(汗)

    思い立った瞬間に、思うがままに書いてしまいましたので。基本的にショートショートは即興で書くので……。

    喜んでもらえるように書いたつもりですが、大丈夫かな。

    しかしそれにしても、「マントヒヒ村上」、面白いのに、1位を獲れなかったのは残念です。

    次回のコンテストではもっとこの小説の面白さがわかる人が増えるといいなあ。

    2票入れられなかったのが残念です。

    NoTitle

    まさか、あれを二次創作するとは・・・。
    何て大胆なんだ、ポールさん。

    二次創作は、原作を愛してないとできないので、きっとTAMAさんも喜んでくださいますよね。

    でも、ちゃっかりエドさんも出てきてるし。
    ラストあたりは、ポールさんらしさも醸し出されて、独特な村上に仕上がってますね。

    TAMAさん、1位になれなくて残念。
    上位のどの作品よりも、面白いのになあ~。
    「ドリーム」というテーマが広すぎるからでしょうかね。
    「ドリーム」って、どんなジャンルなんでしょう?
    (いまいち、把握してない私)
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